人生2周目〜ツイステの世界でやり直し〜(まとめ3)
※ツイステ2次創作の第1章の部分を加筆、修正して纏めたものです。
第1章〜真紅の暴君その2〜
昼食の時間になったので、
お昼をとる事にした。
グリム、黙っているけど…。
流石に騙したのはー。だがグリムは目をキラキラさせながら言ってきた。
「ふわぁ〜!美味しそうなものがいっぱい
なんだゾ〜!」
…凄い元気じゃないか。
様子が変だと感じたグリムは、様子を
伺ってきた。
「どうかしたんだゾ、ユウ?」
ちょっと罪悪感があったけど、アホらしく
なってきた…。
「…なんでも。とりあえず俺はオムライスを
食べたいかな。」
グリムが急ごうと言った顔をして、言って
きた。
「とっと行かないと、
売り切れるんだゾ!!」
だよね、凄い人だし。
グリムが前を見ていなかったのか、
ぶつかってしまう。
するとー。また絡まれている。
グリムってそういう星の元で生まれたワケ?
「あ〜〜〜っ!?オイテメェ!
お前がぶつかってきたせいでパスタの温玉が
崩れちまったじゃねぇか!」
それは大変だ。
「ごめんね、温玉さん。」
温玉さんに謝ったのに、なぜかキレられて
しまった。
「そっちじゃねーぇよ!!」
騒ぎを聞きつけて、エース達も来てくれた。
「なんかあったワケ?」
「グリムがぶつかって、温玉さんが崩れたから温玉さんに謝ったんだけど、なんか怒られちゃった。」
デュースも俺の意見に同意してくれた。
「それは、分からないな。
温玉さんには、しっかり謝ったと言うのに。」
そんなやり取りを見て、エースはげっそりした顔付きをしてきた。
「天然×天然とかマジ勘弁…。」
だが、無視されたのが気に食わなかった
らしい。
「オイ、さっきから!態度がなってねーな!
ちょっと裏こいよ!」
うわー、テンプレのセリフ。
「テンプレ過ぎて…、もう少し考えて発言した方がいいのでは?」
どうやらその言葉に、堪忍袋の尾が切れた様でテンプレのセリフを叫びながら勝負を仕掛けてきた。
デュースが焦りながら止めてきた。
「せ、先輩。校則に魔法での私闘は禁じると…。」
アレ?今朝はケイトくんと戦っていたけど。
アレはノーカンか?
「でも、今朝はケイトくんと戦ったよね?
アレは?」
デュースが理由を説明してくれた。
「ハーツラビュル寮のルールを破った者がいたからこその処置で、ノーカンだろう。」
…成る程。
そんな話をしている間にザコくん達が勝負を仕掛けてきた。
「なーに、ごちゃごちゃ言ってんだ!!」
面倒くさいな。
「とりあえず、ザコA、Bくんを倒そう。」
デュースが突っ込んできた。
「言い方!!」
そんな間にも、ザコくん達は殴り掛かって
きた。
「オラァ!!」
怒りのままに攻撃しているし、攻撃が分かりやすい。また殴ってくるって思っていたら、
デュースも思っていたらしく上手く避けて
くれた。
「…分かりやすな。」
「怒っているからだと思う。」
そんなザコくん達を見て、グリムは調子に乗っていた。…グリムは調子に乗らないぐらいがちょうどいいからもう少し強い方がよかったかも。
「楽勝なんだゾ!!」
それに、これなら別に作戦とか飛ばさなく
てもー。そう考えていたら見知った声がした。見ると、ケイトくんがザコくん達を止めていた。
「はーい、そこまでね。」
もう1人の眼鏡をかけた人は、確か3年で、
副寮長のトレイ・クローバーだったよな。
「ま、あんまり暴れ過ぎてんのを見逃す
のもな。」
ザコくん達の顔が真っ白になった。
「ふ、副寮長!この事は!!」
トレイさんは、柔かに対応していた。
「まぁ、今回は大目に見てやるよ。」
「あ、ありがとうございます!」
そう言って、ザコくん達は消えていった。
俺達の存在に気が付いたのかケイトくんが手を振ってきた。
「やっほー!朝ぶり?エースちゃん達!」
「ケイトくん。…隣は…。」
知っているけど、知らない振りをした。トレイさんは穏やかに名前を名乗ってくれた。
「ハーツラビュル生3年で、副寮長を任されているトレイ・クローバーだ、よろしくな。」
…ピーちゃんから情報貰ったときから思っていたけど、随分と穏やかそうな人だな。
「よろしくお願いします、トレイさん。」
グリムは、限界がきたのかはやく食べたいことを伝えてきた。
「そんな事よりハラ減ったんだゾ〜!!」
それを見たトレイさんは、食事に誘って
くれた。
「ははっ、悪いな。せっかくだし、一緒に食べようか。」
トレイさん達に食事に誘われたおかげで、
なんとか席を確保出来たのでトレイさん達にお礼をいい、食事をしている最中に気になったことがあったので聞く事にした。
「…ハーツラビュルで、なにか問題でも?」
トレイさんは、ケイトくんと楽しくおしゃべりしていたがピタリと止まった。
「…どうしてそう思うんだ?」
この感じ…、やっぱりなんかあるな。
だっておかしい。いくら血の気が多い生徒が
多いとは言っても、ハーツラビュル生ばかりに絡まれるのは。
「朝、ハーツラビュル寮に向かう前に寮長に罰則を食らったと言う生徒に絡まれた。そして、今の生徒もハーツラビュル生だ。偶然にしては出来過ぎでは?」
トレイさんは、溜息を吐いた。
「ユウ、だっけ?」
「そうです。」
「厄介なタイプというか、ケイトに話を聞いていた通りだわ。」
また褒められた、照れてしまうな。
「ありがとうございます。」
「…嫌味も通じないとなると、こりゃあ大物だわ。」
イヤミだったのか、今の。褒め言葉だって感じていたわ。トレイさんは、悩みがちに口を
開いた。
「…詳しくは、話せないがー。」
ローズハーツさんのことは少ししか分からないけど、ルールに厳しそうって感じがした。
そんな寮でエースみたいなヤツがルールを
破ったりしたらって考えたら想像は出来る。
「恐らく、寮長に不満を持っている人が暴れているって所でしょうか。」
トレイさんは、目を見開き驚いた顔をした。
「!!」
…やっぱりか、厳し過ぎるルール。
そんなのにずっと縛られていたらー。
「…厳し過ぎるルール。人は、そんな物に
ずっと耐えられる程強くありません。機械じゃありませんから。その一部が今回の騒動なのでしょう。」
トレイさんは、疲れた様に溜息を吐いた。
「…嫌な奴だな、アンタ。」
これは…、イヤミなのか?分からないな。
俺はどうも感覚が鈍い場所があるからイヤミを言われていても気が付かないだよな。
「どうも。」
まぁそれはともかく、ルールは変えられないのだろうか?ルールを緩くするだけでも大分マシになるって思うんだけど。
「前にハーツラビュル寮のルールは絶対と言っていましたが、もう少し緩く出来ないのですか?」
トレイさんは、首を横に振りながらキッパリといった。
「ま、無理だな。」
エースがブスッとしながら、聞いていた。
「大体、「ハートの女王の法律」ってなんなのさ。」
めちゃくちゃ機嫌悪いな…。しょうがないけど。首輪を嵌められたし。トレイさんは、
ハートの女王の法律について話してくれた。
「伝説のハートの女王の伝説については、
お前たちもよく知っているだろう?」
…よかった、レオナさんに聞いていて。
規律を重んじ、厳格なルールを作る事で変な奴らばかりの不思議の国を治めていただっけ。『ふしぎの国のアリス』の女王様だけどやっぱり違うな。原作でも女王は、極度の癇癪持ちとして描かれていたしな。イメージが全然違うんだよな。そんなことを考えていたが、ケイトくんが更にハートの女王についての説明を付け加えてくれた。
「そんなハートの女王をリスペクトして我がハーツラビュル寮生はハートの女王のドレスの色である赤と白の紋章をつけてハートの女王の作った法律に従うのが伝統ってね!」
なるほど…。伝統ならしょうがないのかも知れない。けど伝統も時代に合わせて変化するものだ。なら、ルールを変えてもいい気はするけど。リスペクトって言うぐらいだしそんなに簡単に変えられない物なのかも知れない。
「伝統をどうこう言うつもりはありませんが、厳し過ぎても「この!独裁者が!」って言う人が出て来てもおかしくない。」
その為にはー。
「そう言う人を減らす為にも、少し甘くみても…。」
トレイさんは食事が終わったのか、紅茶に角砂糖を2つ程入れて口を潤してから話して
くれた。
「…どれくらい厳しく伝統を守るかは、寮長によって違う。」
たしか前にケイトくんもー。
「確かに前にも、言っていましたね。」
ケイトくんは困った顔をしながら言ってきた。
「前は、ゆるゆるだったんだけどね〜。」
今までの話や、俺の目から見てもローズハートさんは真面目だ。真面目過ぎるってぐらい。人間だし、少しぐらいはズルいことを考えそうなもんだが、ローズハートさんはそれをしてない。
「今の寮長は真面目と言っていましたね。そのため、ルールを守ろうとしているとしている所でしょうか。」
「…うん。」
ケイトくん達の顔が曇った気がした。
纏めると今回の騒動も、厳しい過ぎるルールのせい。…ケイトくん達がハーツラビュル生を見逃したのも、きっとー。
「ハーツラビュル生の騒ぎを見逃したのも、
ハーツラビュル生の不満を溜めすぎない為ですね。…寮長の不満が溜まったハーツラビュル生が暴れる度に、上手くコントロールしているのがケイトくん達だ。」
ケイトくんが困った顔をしながら言って
きた。
「…そんな事ないと思うけどな〜。」
あると思う、誰かに話をするだけで楽ってこともあるから話を聞いているだろうし、
ハーツラビュル生がトラブルを起こす度に
ローズハートさんには話さないことで
ハーツラビュル生に被害が出ない様にして
いる。
「あると思います、不満を晴らす場所が無ければそれは溜まって行き、やがて殺意に変わる。…寮長にまだ被害が出てないのは、ケイトくん達の手腕でしょう。」
デュースは考え込む様に呟いた。
「殺意、か…。」
まだ不満がある内は可愛いもんだと思う。
だが不満が爆発したら?
「そ、1人ならまだいいけど、大勢で来られたらさすがの寮長でも抑えられないよね?」
ハーツラビュル生は、ある意味軍隊に似ていると思う。厳しいルールによってなりたっている所が。確かにルールは必要だ。ルールがなければ、無法地帯になるだろう。
だが、ローズハートさんはやり過ぎなのだ。軍隊を崩さない為には内部分裂させない方がいい。だが、今のハーツラビュルはいつ内部分裂してもおかしくない状態だと言える。 簡単に言えば、脆いのだ。
「…あ〜!もうこの話題ヤメ!!」
ケイトくんが話題を無理矢理止めてきた。
「…すいません、楽しい食事の場でする話ではなかったですね。」
…まぁ、無理にする話じゃないな。
「あはは〜、いいよ。それにしても、
ユウちゃんさ…。」
ケイトくんが、まじまじと見てくる。
「闇の鏡に寮選ばれなかったらしいけど、
選ばれていたらオクタヴィネルかスカラビアに選ばれていたんじゃない?」
いきなり寮の話をされたので、驚いて間抜けな声を出してしまう。
「へっ?」
そんな俺を見ながらケイトくんは説明して
くれた。
「いや、寮ごとにもキャラが定まっていて
ユウちゃんってタイプ的にこの2つじゃない?」
トレイさんは、納得した様に頷いていた。
「あー、分かるわ。」
よく分からないと言う顔をしていたら、
ケイトくんは寮についての補足をして
くれた。
「オクタヴィネルとスカラビアは、頭脳派で筆記テストはデッドヒートしているし。ユウちゃん、筆記テストとか得意そうだし。」
まぁ、否定はしない。暗記は得意な方だし。
「でも、他の寮の可能性もー。」
そう言ったが、ケイトくんに否定された。
「サバナクローだけは、無いんじゃない?
あそこ肉体派だし。」
確かにレオナさんとか、ラギーさんとか
ワイルドだったな…。運動であった嫌な思い出を思い出し、言った。
「ないですね。」
ケイトくんは驚いた顔をした。
「返答早ッ!!」
だって運動会とか1番嫌いなタイプだし、
走るのとか無意味とか考えているし。
「この世で1番憎むべきモノ、
それは運動です。」
トレイさんは、苦笑いしながら言ってきた。
「なんだろうな?この既視感…。」
ケイトくんは、そんな俺を見て言った。
「ユウちゃんは、オクタヴィネル
一択かも…。」
寮関連の話が続いていた為か、トレイさんは他の寮のキャラを教える気になった様だ。
「せっかくだし、他の寮のキャラを教えて
おくか。」
そうだな..:。知って置いて損はないか、
俺が知っているの寮の特徴とかそこら
辺だし。
「お願いします。」
トレイさんは頷くと、ポムフィオーレについて話してくれた。
「で、ポムフィオーレは美に対しての意識が強い。」
なんかキラキラしていたもんなあそこ。
THE・貴族って感じ。
「なんか手袋とか投げつけてきそうな雰囲気ありますもんね。」
ケイトくんは突っ込みながら、補足して
くれた。
「どんな!?…後は魔法薬学や呪術がー。」
「これでさらに綺麗に!」みたいな
感じだもんな。
「部屋に鍋とかあって、毒薬とか作ってそうですもんね。」
ケイトくんは、逸れかかった話を軌道修正し、話を元に戻した。
「だからどんな!?話が逸れたね。
イグニハイドはハーツラビュルと正反対。
ちょっと、暗いよね〜。」
…すごい、これがエース達の会話なら軌道修正出来ないまま終わっていたよ。
「なるほど、俺も暗いしここもー。」
そう言った途端にハッキリと否定された。
「ユウちゃん、暗くなくない?
ハッキリと言うタイプだし。」
いや?まぁ、ハッキリ言うタイプだけど?
元の世界でもそれが原因でトラブルに発展したことあったけど?割と悩むし、暗いって
思っていたんだけど。違うのかな…。
「…。他は?」
それに知り合いがいない分、
開放的になっている所はあると思う。
その影響で昔の性格に戻っている面が
あるのは否定しない。でも、そんなに
酷かったかな?そんな俺のことを無視して、ケイトくんは話を進めていた。
「後、イグニハイドは魔法エネルギー工学とかデジタル系に強いんだよね。」
また、知らない単語だ。
魔法エネルギー工学ってなんだろう?
…ま、聞いても分からない可能性あるな。
名前から察するに化学系だし。
ケイトくんは、悩みながら聞いてきた。
「最後は…なんだっけ?」
最後?なんか難しい名前だったようなー。
ディアなんだっけ?
「ディアちゃん寮です。」
トレイさんが呆れた様に言ってきた。
「…名前、途中から覚えられないから略しただろ?」
凄い、当たり。トレイさんって人をよく
見ているなぁ。
「まぁ、はい。」
ケイトさんが、分かると言った様に頷いて
きた。
「分かるなぁ〜。ちょっと独特な名前だよね。正解は、ディアソムニアね。
なんつーか、超セレブつーの?」
この学園って設備が充実しているし、
充実セレブな学校だって思うけど。
「学校行けている時点で、セレブだって思います。」
ケイトさんが苦笑いしながら、
話してくれた。
「まぁそうなんだけどー、
ディアソムニアはー。」
「呼んだかの?」
そう言って急に逆さになって、目の前に現れた人がいた。魔法ってこんなことも出来るのか?逆さになった人は、気が付いたら空いた席に座っており俺に話しかけてきた。
「ウワサは聞いているぞ、ユウとやら。わしはリリア・ヴァンルージじゃ。よろしく頼む。」
リリアさんは、隣に座って笑顔で挨拶してきた。…魔法はイメージらしいけどこればっかりはどんなカラクリか分からないな。とりあえず挨拶しておくか。
「よろしくお願いします、リリアさん。」
グリム達は、俺の対応に突っ込んでいた。
「だから!なんで!普通に対応しているんだよ!!」
「神経太いとか言うレベルじゃないわ〜。」
散々な言われようだ。リリアさんは、そんな俺らを見て楽しそうに笑った。
「ハハハッ!!なんじゃ?お主想像より面白いな。マレウスと合わせてみたくなったわい。」
まれうすさん?なんか聞いたことあるけど
どこだっけ?記憶を遡っていたが中々思い出せなかった。
「えっと…。」
戸惑っていると、リリアさんが教えてくれた。
「マレウス・ドラコニア。
わしらのトップじゃ。」
思い出した。確かピーちゃんが、ディアソムニアは撮るのは苦戦して一部しか情報が得られなかったって言っていたけど、情報を得れる時点で有能だと思う。
「マレウスさんか…、会ってお話してみたいですね。」
ざわめきが広がった気がした。
「そんなに?」
リリアさんは頷きながら、言ってきた。
「あやつは、有名人だからな。
じゃが、お前の様なタイプは初めてじゃ。
恐れるのではなく、会ってみたいとはー。」
リリアさんが黙っていた。
うーん、なんか選択肢間違えた?
「あのリリアさん?」
リリアさんは我に返ったようで、微笑みながら言ってきた。
「…すまないな、世の中も捨てたもんじゃないと思ってな。」
「?」
益々分からない。リリアさんは立ち上がった。
「食事中、邪魔したな。それではの。」
それだけ言うとリリアさんは自分の席に戻って言った。
ずっと息を殺していたのか、
エースは息を吐いて言ってきた。
「ぷっはー!!こっわ!!
つかー!!お前、よく平気だな!?」
そんなに?
「なんか独特だけど、面白い人だよね。
リリアさん。」
グリムは、エースの意見に同意するように
言った。
「そんな感想出てくるのユウぐらい
なんだゾ!!」
マジ…?そんな俺らのやり取りを苦笑いしながらトレイさんは見ていた。
「まぁ、ユウの図太過ぎる神経の話は置いといて、ディアソムニアは魔法全般に長けた優秀な生徒が多い。」
今、失礼な事言われた気が…。
ケイトくんは、頷いて言ってきた。
「マレウスくんは正直、ヤバヤバのヤバだよね。つか、それ言うならウチの寮長も激ヤバなんだけど〜。」
なんだろう?この親バカ感。
「うちの寮長は凄いんです!」って自慢している感じにも聞こえなくもない。
エースは、デザートに口をつけながら
言った。
「ほんっとにな!タルト一切れ食ったくらいでこんな首輪つけやがって。心の狭さが激ヤバだよ。」
うーん、こっちはケイトくんの会話の真意を読み取れてない気がする。ケイトくん、寮長の事自慢してる感あるし。
…エース、本当に謝る気ある?
すると、冷たい声が聞こえてきた。
見ると、ローズハートさんがエースを冷たく見ていた。
「ふうん?ボクって激ヤバなの?」
あ、めちゃくちゃ怒っている。
「エース、謝って」そう言おうとしたが、
気が付いてないみたいでエースの暴言は
止まらない。
「そーだよ。厳格を通り越してただの横暴
だろ、こんなの。」
…遅いけど、言ってやるか。
「…後ろの正面だーれだ?」
「はっ?」
そう言いながらエースが振り向くと、
めちゃくちゃ冷たい目をしたローズハート
さんがいた。
「でぇっ!寮長!」
…初めて聞いたよ。そんな声。
すぐさまケイトくんは、サポートに回る。
「おっと、リドルくん。
今日も激ヤバなぐらいかわい〜ね♪」
…恐らく、今までもこうして寮生達を守ってきたんだろな。だがそんなケイトくんを無視してローズハートさんは冷たく言い放った。
「ふん。ケイト。あまりおしゃべりが過ぎるとその回る口ごと首をはねてしまうよ。」
まぁ、関わらなくてもいいけど。「治安維持」を任かされているし。止めるか。
「…ここが血塗れになるのは、勘弁してほしいですね。」
そう言った際にローズハートさんは、
不審な目で俺を見ていた。
「なんだい?」
どうやら俺の存在に改めて気が付いた様だ。
「…お前は!!」
敵意を燃やして睨んでくるローズハートさんの敵意を軽く受け流して、あいさつをした。
「はじめまして、ローズハートさん。俺はユウです。改めてよろしくお願いします。」
なんか、プルプル震えているな。
震えた口を開けて、聞いてきた。
「…どうしてここに。無礼な口の聞き方だな。まさかボクを「さん」付けとは。」
ここに来てから誰も「先輩」って呼んで無いし、呼ぶ予定もない。勿論ローズハート
さんも。
「レオナさんも「先輩」呼ばわりしてない時点で察して頂けると。学園長に改めて学生としてここで勉強する許可を貰ったので。」
ローズハートさんは、キツく睨み付けながら
言ってきた。
「…まぁいい。余所者がハーツラビュルに口を出さないで貰おうか!」
関わりすぎても、アレだし。あくまで「治安維持」に収まる範疇で関わる予定だよ、俺は。
「出しませんよ、ただここは公共の場。そういった場所で、血生臭いのは見たくないってだけです。」
リドルさんは、舌打ちしつつ刃を収めてくれた。
「…よく口が回るヤツだな。」
これはイヤミだって分かる。だが、それに対してもいつも通りの回答をする。
「どうも。」
俺にはなにを言っても通じないと判断した
ローズハートさんは、俺を無視してエースに向き合い言った。
「…反省しているなら外してあげようと
思ったけどー。」
エースが驚いた顔で、ローズハートさんを
見ていた。
「えっ。」
だがローズハートさんは、冷たくエースに
言い放った。
「先ほどの発言からしてキミに反省の色があるように見えないな。しばらくそれをつけて過ごすといい。心配しなくても1年生の序盤は魔法の実践より基礎を学ぶ座学が中心だ。」
…まぁ、魔法が使えなくても死なないし。
エースは、どうだか知らないけど。
ローズハートさんは、当然の様に言った。
「魔法が使えなければ昨日のような騒ぎも起こさなくて、ちょうど良いだろう?」
アレ?ローズハートさんってもしかしてー。
ローズハートさんは、ダラダラしているみんなを見て席を立つ様に指示を出していた。
「さぁ、昼食を食べ終わったらダラダラしゃべってないで早く次の支度を。
ハートの女王の法律・第271条
『昼食後は15分内に席を立たなければならない』ルール違反はお分かりだね?」
やっぱり、ローズハートさんはー。
エースは、文句を言っていたがローズハートさんに怒られたので、ちゃんとした返事をしていた。トレイさんがエースのフォローに
回る。
「まぁまぁ、俺がちゃんと見張っておきますから。」
ローズハートさんは、トレイさんに文句を
言っていた。
「…フン、キミは副寮長なんだからヘラヘラしてないでしっかりしてよね。」
だがー。うん?ローズハートさんの雰囲気が変わった?今までのキツイ言い方と比べると、優しいというかー。ローズハートさんは、急いでいることをみんなに伝えた。
「ボクはハートの女王の法律・第339条
『食後の紅茶は必ず角砂糖を2つ入れたレモンティーでなければいけない』を守るために購買に角砂糖を買いに行かなきゃならないからこれで失礼。」
…何、そのルール。
歴代の寮長が勝手に付け加えたんじゃない
かってレベルで分からないのあるな。
ローズハートさんがボソッと呟いた。
「全く、シュガーポットに角砂糖を切らすなんて重罪だよ…。」
やっぱり…。
「ローズハートさん、一つだけいいですか?」
ローズハートさんは、怪訝な顔でこっちを
見てきた。
「なんだい?ボクは今ー。」
言ってやらないと。きっと彼の周りには言ってやれる人がいない。
「その生き方、息苦しくないですか?」
そう言った途端にローズハートさんは、
動揺し始めた。
「!!な、なにを…。」
動揺するってことは…。なにか思う場所が
あるってことだ。
「俺は、あなたはただの横暴な悪だって思ってません。ハーツラビュルが纏まっているのもルールのおかげだ、けどそれ以上にあなたはルールに縛られている。…恐らくハーツラビュル生以上に。」
その言葉によってローズハートさんは、更に動揺し始めた。
「!!」
やっぱりローズハートさんは、ルールに縛られて苦しんでいる。
「あなたは規律を乱し、ルールが守れないのが許せない。だから、凄い真面目だって
思います。もう少しぐらい肩の力を
抜いてもー。」
そう言った途端に苦しそうに叫んだ。
「キミになにが分かる!!」
ローズハートさんは、ハッとした後に踵を
返して小さく呟いた。
「…急ぐから、これで。」
ローズハートさんがいなくなった後にエースが聞いてきた。
「…オメーが言いたい事、よく分からなかったんだけど。」
まぁ、分かんないよな。ローズハートさんは、寮生にとっては恐怖の対象だし。
「うん、つまりね。
ローズハートさんってハーツラビュル生以上に苦しんでるじゃないかなって思ったんだ。」
エースは、分からないと言った顔で言って
きた。
「…ただの横暴のヤツだって思ったケド。」
エースにとってはそう感じるかも知れない。
けど俺はそう感じなかったんだ。
「感じ方は人それぞれだよ。
…でも俺はリドルさんはルールを絶対に守ろうとして追い詰められている気がした。呟いていたのが、『シュガーポットに角砂糖を切らすなんて重罪』だし。もっと気楽に考えていれば、後で角砂糖を買うとか自分の中では角砂糖入れたからみたいに誤魔化して飲む事だって出来る。でも、してないんだ。」
デュースが心配そうな顔をしていた。
「…それは。」
厳し過ぎるルールといったものが蝕むものは、なにも他人だけじゃ無い。自分だって
そうだ。
「心配だよね?いつ心が壊れてもおかしくない。…だからケイトくん達。リドルさんの事お願いします。」
トレイさんは、困った顔をしながら微笑んだ。
「…参ったな。」
「なにがです?」
「いや?リドルの事心配するヤツは少ないからさ。…なんか嬉しいな。」
「お願いしても?」
そう言ったら、ケイトくん達は任せろと言った顔をしてくれた。
「任せてよ〜!!」
「出来る範囲で、サポートする。」
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