恋バナ

アニエス・クローデルは悩んでいた。
何故なら、意中の人ヴァン・アークライドが
自分を意識してくれないから。
分かってはいるのだ、ヴァンにとっては自分はまだまだ子供だって事は。
だが、少しぐらい意識してくれてもー。
「アニエスさん?」
そう声がして振り向くと、ヴァンの幼馴染でもあるエレイン・オークレールがいた。
「エレインさん!こんにちは!」
「ええ、こんにちは。
さっき、もう少し意識してくれてもとか
聞こえてね。」
口に出していたのか、恥ずかしさのあまり
黙るアニエス。そんなアニエスを見て何を
思ったのかエレインはー。
「…アニエスさん、よかったら一緒にお茶でもどう?」

そんな訳でエレインとお茶をしているアニエスだったがー。
凄い緊張をしていた。
なんたって相手は、A級遊撃士。
それだけではないー。自分にとってエレインは憧れなのだ。カッコよくて、大人で、
ヴァンの隣に立ててヴァンに頼りにされて
いる。
そんな人が今、目の前にー。
「アニエスさん?」
「は、はい!」
「そんなに緊張しなくても大丈夫よ、
私が個人的に話をしたかっただけだから。」
「えっ。」
「ヴァンって鈍いでしょ。」
「!!」
「そ、それは…。」
「私がヴァンと付き合う時、どっちが告白
したと思う?」
ヴァンさんが告白するのはあまりイメージ
出来ない。つまりー。
「エレインさんから、ですか?」
エレインは、溜息を吐きながら言った。
「そうよ、私なりにアピールしたんだ
けど…。」
分かる気がする、ヴァンさんはー。
「気が付かなかったんですね…。」
「そ、だから私から告白したの。
でも、告白しても酷くてね。」
「えっ?」
「驚いた顔するの!今まで気が付いて
なかったの!?あんなアピールしていた
のにって思ったわ…。」
「ヴァンさん…。」
「付き合っても、変わらなくてね。」
おそらくー。
「服とか見ても「似合っているぞ」一択
でしょうか?」
「そう、ひどいわよね。」
「全くです!!」
ヴァンさんは酷い人だ、けどー。
「「そこが好き。」」
2人で、そう言って笑いあった。
「…まったく、酷い男を好きになった
わね。」
「…本当です。」
「アニエスさん、相談があるんだけどー。」
そうして2人はヴァンを驚かす作戦を決行
する事になった。

ヴァンは、アニエスに用事があり声を
かける。
「アニエス、少しいいか?」
「すいません、ヴァンさん。」
「ん?」
「私、これからデートなので!!」
「ハッ?」
アニエスは、そう言って事務所を出た。
ヴァンは、想像以上に動揺していた。
アニエスがデート!?誰と!?
落ち着け!!俺はハードボイルド…。
落ち着けるか!!真相を確かめてやる!!

そうしてヴァンは、アニエスを尾行して
いた。
アニエスは、誰かを待っているようだった。
アニエスに彼氏なんか認めん!ん?なんで?
いや、とにかく真相をー。
「エレインさん!!」
「ハッ?」
「あら?ヴァン何をしているの?」
「エレイン!?だってデートだって…。」
「だから、その相手が私よ。文句ある?」
「いや…その…。」
「アニエスさんを取られると思って、
焦った?」
「ンなワケあるか!」
「じゃ、アニエスさんいきましょう。」
「はい!!」

呆然としているヴァンを見ながら、アニエスとエレインは笑っていた。
「見た!?アニエスさん!!」
「はい!!作戦成功ですね!!」
2人の作戦は、こうだ。
アニエスがデートと言って、ヴァンを
動揺させる作戦だったが予想より上手く行ったようだ。
「ふふっ!!」
「あははっ!!」
笑い合う2人の姿は、まるで姉妹の様で
あった。

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