人生2周目〜ツイステの世界でやり直し〜⑯

第十六章〜タルトを作れ〜

「一旦、寮長の事は置いといて、
エースって寮に入れないですよね?」
「まあな、ルールだし。」
「あとリドルくんは特にホールドケーキの
最初の1ピースを食べるのを楽しみにしてる
からきっとホールじゃないと許してくれ
ないよ。」
エース、やらかしたな。
「…やっちまったな。」
「その口調なんだよ!!」
「やっちまったな!」
「やっちまったんだゾ!!」
「オメーらも、乗んな!!」
「ハハッ、仲いいね〜。」
「ンなワケ!」
エースが否定しようとしたが、ケイトくんは無視して先に進めた。
「ホールで買うとなると高いよね?
なら作れば?」
あ、その手があったか。
安いし、問題はタルトの作り方なんか知らないと言う点だが。
「ま、手伝ってやるよ。…あのタルト作ったのオレだし。」
「マジで!?あのタルト売り物みたいでしたよ!!」
「ははっ、ありがとうな。
まぁ、タダで提供するわけにはいかないな。」
「分かりました、なにをすれば?」
「次にリドルが食べたがってたタルトを作るのに栗が必要なんだ。集めてきてくれ
ないか?」
「いくつですか?」
「『なんでもない日パーティー』で出すと
すると…2〜300個ぐらいかな。」
「分かりました。」
「マジかよ…。」
「本当は、俺が全部集めてもいいんだけど
今回はダメ。エースがやらないと。」
エースが溜息を吐きながら言った。
「分かったよ!!」
デュースとグリムは、やりたくなさそうだった。しかしー。
「出来たてを食べれるぞ。」
…凄い。
グリム達の扱いがよく分かっているようだ。
「どこに栗はあるんだゾ!!」
「学園内の植物園の裏の森ー。」
聞くと、全員駆け出していた。
「…さっきまでのヤル気の無さはどこに?」
「ははっ、まぁ良いじゃないか。」
そうだ、一つだけ聞いておくか。
「聞いてもいいですか?」
「ん?なんだ?」
「寮長とは、幼馴染か何かですか?」
トレイさんは笑顔のまま固まった。
「…どうしてそう思ったんだ?」
「理由は2つあります。
まず最初の理由としては、寮長の態度
です。」
「リドルの?」
「ええ、寮長は他のハーツラビュル生には
厳しい態度でしたが、トレイさんに話しかけた時、少しだけ話し方が柔らかくなった気がして。」
「…で、2つ目は?」
「2つ目は呼び方です。」
「呼び方?」
「トレイさんは、最初は寮長と呼んでいた。でも、さっきタルトの話になった際や今も
リドルと呼んでいた。まぁ、ハーツラビュル外だから呼んでいるとも考えられますが、
寮長を呼び捨てにするなんてそうそう出来ない。ケイトくんですら、リドルくんです
から。」
トレイさんは、参ったと言う顔をした。
「…アイツらが居なくなってから、
話しかけたのは?」
「聞かれたくない場合も、あるでしょう?」
「…ああ、俺はリドルと幼馴染だ。
俺は実家がケーキ屋をやっていてな。
…色々あって知り合った。」
「だから、ケーキを作るのが得意なん
ですね。」
「そういう事だ。…ちょっと相談していいか?」
トレイさんは、困った様な顔をしながらこちらを見てきた。
「いいですよ。」
「よかれと思ってやった事が、悪い方向に
転がっていったらどうする?」
難しい問題だ、何故なら俺も失敗した。
「難しい問題ですね、俺もそれで
失敗しました。」
トレイが驚いた顔をした。
「お前も?」
「そうですよ。…人間ですから、失敗するのは当然なんですよ。」
「そういうもんか。」
「ええ…あんまり待たせる悪いし、
行きます。」
そう言って、植物園の裏の森に向かう事に
した。

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