人生2周目〜ツイステの世界でやり直し〜⑰
第十七章〜栗を集めろ〜
「ユウ!遅いんだゾ!!」
「てっきりサボり…、いやユウに限ってそれはないか。」
「ま、1人で栗とか黙って拾うタイプだわ。」
…やっぱり慣れないな、この信頼は。
「栗の棘が肉球に刺さったんだゾ!!」
…素手は無理だな、カゴとかもらってくるか。
「植物園に道具ありそうじゃない?」
「探してみるんだゾ!!」
植物園は、思っていたより広かった。
「…これ、想像より探すの大変かも。」
「手分けして探そう。」
エース達と、別れてカゴとトングを探す事にした。
「…ないな。」
ふみっ。
「いって!」
ん?今声が聞こえてきたな。
「人の尻尾を踏んでおいて素通りとはー。」
「いい度胸とか言うつもりでしょう?」
「…本当に、いい性格してるなテメー。」
「ありがとうございます。」
「褒めてねーよ。…たっく、こんな調子だから怒る気が失せる。」
レオナさんが、呆れている。
…そんなに?
「レオナさーん!」
「チッ!」
舌打ちしたな、今。
会いたくないのかな?
「やっぱりここにいた。
レオナさん、今日は補修の日ッスよ。」
…補修?レオナさんが?
「あ!ユウくん!こんにちはッス!!」
「ラギーさん、こんにちは。
…あの補修って?」
「ああ、レオナさん授業サボりがち
なんッス。…留年しているし。」
…マジか。
「知らなかった…。」
「まぁ、言ってなかったし。
…ほら、レオナさん!行くスッよ!
やればできるのになんでやらないん
だか…。」
あ、そうだ。聞いておこう。
「あのカゴとトング探しているんですが…。」
「なんだってそんなモノを…。」
「栗拾いしなくちゃいけなくて。」
「んー、理由はわからないッスけど…、まさかタダで…。」
参ったな、今渡せるのコレしかない。
「売店で、買ったドーナツぐらー。」
しかないと言おうとしたら凄い勢いで、奪われた。…早すぎて見えなかったな。
「カゴとトングは、奥にあるッスよ!!
さあ、レオナさんいきましょう!」
「テンション上がりすぎだろ…、テメー。」
「そりゃあー。」
ラギー達は、たわいもない会話をしながら植物園を出て行った。
…奥にあるって言っていたな、探すか。
奥に向かって、探しているとエース達と鉢合わせた。
「ユウ!丁度良かった!見つかったんだ!」
「奥にあったぜ。」
ラギーさんの情報は、本物って事か。
「なら、元の場所に戻って栗拾い再開する?…あ。」
「なんだゾ。」
「グリム、その手でトング握れる?」
「…無理だな。」
「じゃあ、数数える係ね。」
「そんな難しい事できっか?コイツに?」
「とりあえず、10個数えたら教えて。
そしたら、別のカゴに移すよ。」
「それなら、コイツも出来るか…?」
「なんかバカにされている気がするんだゾ!」
「いち、に…じゅーうなんだゾ!」
うん、いい感じ。
10にまとめた栗は別のカゴに。
カゴに移し替える作業をしながら、
ふと思い出した事があったので話す事にした。
「植物園なんだけど。」
「うん?」
「植物園がどうかしたのかよ?」
「レオナさんが寝ている時があるし、気をつけて。」
「ハッ?」
「えっ?」
…まぁこんな反応にもなるか。
もう少し詳しく話すか。
「さっき植物園でカゴとトング探している最中にあったんだけど、尻尾踏んじゃって…。ちょっと絡まれるし、気を付けた方が…。」
エース達は、溜息を吐いた。
「よく無事だったな。」
「ありえーねよ、尻尾踏んで無事だったとか。」
「照れるな。」
「「褒めてねーよ!!」」
指定された数は集まったので、トレイさんの元に持っていった。
「おかえり。ずいぶんー。」
「指定の数はあるので。」
トレイさんは驚いた顔をしていた。
「300個か!?よく数えられたな。」
「まぁ、暗算とか暗記とか得意なので。」
グリムは、嬉しそうにする。
「これならでっけータルトー。」
「まぁその分、これだけの量を剥くのは
大変だと思うが…頑張れよ。」
「えっ。」
「はっ?」
「フナッ!?」
トレイさんの説明をよく聞かないで出て行ったのはエース達なワケだし文句は言えないと思う。
「これ、全部か…気が遠くなるな…。」
デュースとか、こういう作業苦手そうだしな。あ、俺以外全員か?
トレイさんが言う。
「お菓子作りは下ごしらえが大切なんだ。」
実家がケーキ屋だし、説得力が違う。
「へーへー、分かりました!
こーなったらとことんやってやろーじゃん!」
…エース、もうほぼヤケクソだな。
「栗の皮を剥くにはコツがある。
魔法で効率的にやってしまおう。」
…まぁ、デュースとグリムしかいないけど。
俺とエースは魔法使えないし地道に手で向いて行くコースか。
「頑張ります!!」
「デュース、頑張り過ぎないでね?」
「何故!?」
「デュースって肩に力入り過ぎると、魔法上手く使えないし肩の力抜いてやった方が…。」
「そんな事はない!見ていろ!!
剥けろ!!何故!?」
栗の皮は上手く剥く事が出来ず、むしろ砕けた。
「アハハッ!!へったくそ〜!!」
「ムッ!!そう言うキミは…。」
「オレ?じゃーん!!」
「!!」
うわっ。めちゃくちゃきれいに剥けている。
「凄いな、エースは器用なんだな。」
トレイさんは、エースを褒める。
「まぁ、そこのヤツと狸とは違うんで!!」
エースが調子に乗っているなぁ。こう言うのにデュース達は乗りやすいし、心配だな。
「ぐぐっ〜〜〜!!」
「見ていろ!僕だって!!」
…やっぱり。
「2人とも落ち着きなよ。
前にも言ったけど、落ち着いてない状態で
魔法を発動しても上手くいかないよ。」
「そうだったな。…僕とした事が。」
「落ち着いてやるんだゾ!!」
「頑張って。魔法は?」
「「イメージ!!」」
「…。」
トレイさんに観察されている気がした。
「あの…、なにか?」
「いや?凄いなってな。
お前も凄いけどな。…なにそのスピード。」
「パシリで、身についた技術…?」
虐められていた時は、時間内になにかをしないといけないとかあったし。
「…ケイトがなんとなく放って置けないって言っていたが、分かる気がするな。」
「?」
なんの事だ?
「よし!最後の一個だ!剥けろ!!」
その掛け声と同時に箱に入っていた栗は全部皮が剥き終わった。
「凄いな。予想より早く終わったよ。」
「オレ様にかかればこんなもんだゾ!」
「よしじゃあ次は裏ごしだな。」
「えー!!」
エース達は、作業がまだある事に絶望している様だった。
「お菓子がそんなに、簡単に出来るハズないと思うけど。」
「くっそ腹たつ!!」
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