人生2周目〜ツイステの世界でやり直し〜⑤
第五章〜退学騒動〜
「大人しくしていてね、グリム。」
「…。」
グリムを捕まえた後は、とりあえず大食堂に行こうと言う話になった。
「なぁ、本当に大丈夫か?」
デュースは、不安そうにグリムを
見つめていた。
「何が?」
「何がじゃ無くて、
ソイツまた逃げ出したり…。」
その言葉がフラグとばかりに、
グリムは俺の手からするりと
抜け出して逃げ出した。
「あっ。」
「あっじゃねぇ!
とりあえず追いかけるぞ!」
エースは、すぐさまにグリムを追いかけ
俺もそれに続いた。
グリムは、大食堂のシャンデリアに
登っていた。エースと顔を見合わせる。
「どうすんだ?アレ?」
「流石に危険だし、グリムを安全に降ろす
方向を考えて…。」
けれども、デュースは想像より
ヤンチャだったようだ。
「どうする?そうだ!投げれば!」
「ハッ?」
「えっ?」
そう言うとデュースは、エースを
シャンデリアに向かって投げた。
…鍋とか出てくる時点で、変なヤツだって
疑うべきだった。
叫び声がし、シャンデリアが落下する。
…これ、退学ルートかな。
居場所っていうか、帰れるか
分からないけど。
もちろんエースは、デュースのあり得ない
行動に対して怒っていた。
「学園長に知られたら…。」
「知られたら……なんですって?」
振り返ると、ドス黒いオーラの学園長が
いた。…ヤバい、めちゃくちゃ怒っている。
「もう許せません。全員、即刻退学です!」
全員のショックは、大きい物で特にデュースは大きかった。
「そんな! どうかそれだけはお許しください!僕はこの学園でやらなくちゃいけないことがあるんです!」
その割には、問題行動が多かった気がする。
…巻き込んだのは、俺らのなのでなんとも言えないが。
退学になったら、どこに帰るんだろう?
一応聞いておくか。
「あの、学園長。」
「なんですか!ユウくん!
私、今機嫌が悪いのですが!!」
「俺って、退学になったらどこに
帰るんですか?」
「…成る程、確かに途中でしたね。
鏡の間に行きましょう。」
「鏡の間?」
「貴方がレオナくんに、初めて会った
場所ですよ。」
あそこか。
「貴方達も付いて来なさい。」
「闇の鏡よ、この者をあるべき場所に
導きたまえ!」
「病みの顔?」
「漢字が違います!
貴方、闇の鏡に失礼でしょう!」
失礼も何も、鏡に向かって話しかけている方が病んでいると思うのだがー。
そんな事を考えていたら、鏡に怪しい顔が出てきた。…怪しいオッサンだな。
「…。」
「なぁ、なんか変じゃないか?」
「否定はしねーが、
お前の頭とどっちがマシかな!」
「アアン!?」
あ、もう2人とも喧嘩しようとしている。
この学園って頭に血が昇りやすいヤツ多すぎでは?
学園長は、そんな2人を無視して闇の鏡と呼ばれた存在に話しかけた。
「ゴ、ゴホン…もう一度。
闇の鏡よ!この者を…」
「どこにもない…」
「えっ?」
「この者のあるべき場所は
この世界のどこにも無い…」
「無である。」
そう言われた時、なんとなく納得した。
いつも「居場所がない」って思っていたから。なくても納得だ。
「そんな事あり得ません!」
絶句している学園長の前で、
闇の鏡は喋らなくなった。
学園長は、振り返ると聞いて来た。
「貴方、どこから来たんです?」
「日本の新宿です。
産まれた時はこんぐらいで…。」
「そこまでは、聞いて無いです!!」
「帰る場所がない以上、雑用として一緒働いて貰うしかありませんね。」
「まぁ、仕方ないですね。」
「…帰れないのに、絶望して無いんですね。」
「納得している所があるので。」
「では、ユウくんは一生雑用。
他2名は、退学と言う事で。」
「待って下さい!許していただけるなら
弁償でも何でもします!」
あのシャンデリア、弁償できる額って感じはしなかったけど。
「あのシャンデリアは
ただのシャンデリアではありません。」
なんとなく話が長くなりそうだったので、話に割り込んだ。
「つまり特別な物だから、割ったら最後って
事ですね。」
「…貴方、話が長くなりそうと察して無理やり纏めたでしょう。」
「あ、分かります?」
「本当に!無礼な子ですね!貴方は!」
怒っていた学園長だが、話を進めてくれた。
「ユウくんの言う通りです。」
2人の顔が絶望に染まるが学園長が思い出した様に言う。
「1つだけ、シャンデリアを直す方法があるかも知れません。」
2人は、バッと顔を上げて学園長を見る。
「そのシャンデリアに使われたのは
ドワーフ鉱山で発掘されたもの。」
ドワーフ鉱山?また知らない単語が出て来たな。ドワーフって名前が付いているし爺さんが働いていそうだけど…。
「同じ性質を持つ魔法石が手に入ればー。」
「行かせて下さい!」
随分と乗り気だな、デュース。
「ですが、鉱山に魔法石が残っている確証はありませんよ。」
正直言って、賭けだと思う。
それでも、デュースは学園に残りたいんだ。
俺は、学校とか嫌な思い出ばっかりで辞めたいとかしか思ってなかったけどデュースは違う。ならー。
「俺も、行きます。」
「…貴方が名乗り出るなんて。
珍しいですね。」
「大した理由じゃないです、ただ巻き込んだのは自分なのでその責任は取るつもりです。」
「ありがとう…。」
デュースが嬉しそうに微笑む。
エースが、困った様に溜息を吐いた。
「エース?」
「マジで!こんなのキャラじゃ無いんだけど!!行ってやるよ!」
「つまりは、全員で行くと言う事で?」
「…なんかそういう話になったみたいです。」
こうして、ドワーフ鉱山に3人と猫1匹が行く事になった。
「猫じゃねぇ!!グリム様だゾ!!」
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