人生2周目〜ツイステの世界でやり直し〜③

第三章〜罰則〜
「一日中掃除してもうクタクタなんだゾ〜…
ユウは、500枚だったか?
信じられないんだゾ!!」
「照れるな。」
「褒めてないんだゾ!!」
「まぁ、楽な方だったよ。」
窓拭きとか、雑用とかめちゃくちゃ任されていたと言うか、掃除を全部任されて全員帰るとかあったし、掃除は得意な方だ。
「それにしてもあのエースってヤツ、
遅いんだゾ、オレ様を待たせるとは
いい度胸だ!イライラ!」
…イライラって口に出すヤツ初めて見たな。
まぁ、あのタイプは逃げ出す可能性があるし。エースが逃げた可能性もあるけど、
来る可能性もあるし、待ってみるか。
「…いくらなんでも遅すぎるんだゾ!」
「…逃げたかな、やっぱり。」
「今、やっぱりって言ったんだゾ!?」
「逃げる可能性もあると思って。」
「最初に言うんだゾ!?」
「ごめん。」
グリムは、プンスカしながら走り出した。
「…グリム?どこに?」
「エースを、探すんだゾ!
とっ捕まえて窓掃除させてやるんだゾ!」
「居場所は?分かっているの?」
「うっ!」
やっぱりか、なら人に聞くのが早い。
「人に聞いてみよう、
幸いこの大食堂には人が沢山居るし。」
あ、レオナさんだ。
知り合いだし、聞いてみるか。
「こんにちは、レオナさん。」
「よぉ、ユウ。…と狸。」
「狸じゃなくて、グリム様なんだゾ!」
レオナさんは興味なさげにグリムを見ていたが、レオナさんの元に走ってくる者がいた。
「レオナさーん!お待たせしました!
…って噂の新入生!」
その者は、レオナさんと同じ様に耳が付いていた。
「えっと…。」
「オイ、ラギー、自己紹介してやれ。
混乱している様だからな。」
「ふむふむ、
レオナさんが気に入っているって
噂は本当だったんッスね。」
ラギーと呼ばれた少年は、
レオナに睨まれた。
「ハイハイ、分かりましたよ。
オレは、ラギー・ブッチ。
ラギーって呼んで下さい、ユウくん。」
随分とフレンドリーなヤツなんだな。
「キミの噂は、聞いていますよ。
レオナさんを殴った!とか、
噛んだ!とか。」
「そこまで凶暴じゃないです。」
「やっぱり、噂通り天然っと。」
…なんか、探られている気がする。
まぁいいや、聞きたい事があるし。
「あの、レオナさん、ラギーさん。
聞きたい事があるのですがー。」

「オラァ!エースはどこだ!
隠し立てするとただじゃおかねーんだぞ!」
…なんか、借金の取り立てみたいだ。
しかし、誰もいなかった。 
「…って、誰もいない〜!?」
「いいや。私がいるよ。」
声が聞こえて来たと思ったら、浮いている絵画が喋っていた。
当然グリムは驚いた様でー。
「ふぎゃーーー!!!
絵がしゃべった!?」
喋る絵画は、当然の事の様に言った。
「なんだい?しゃべる絵画なんか
この学校じゃあ珍しくないだろう?」
…まぁ、ゴーストがいる世界だし。
絵も喋るか。
「こんにちは。」
「やぁ、こんにちは。」
「いつも思うけど、
普通に話してんじゃねーんだゾ!!」
「そんな事より、
聞く事があるんじゃない?」
グリムは、思い出した様に
喋る絵画に聞いた。
「エースってヤツを探しているんだゾ。
顔にハートが書いてある、
モサモサ頭のヤツ!」
喋る絵画は、見たことを告げた上で
寮に戻った事を告げた。
当然、グリムは怒っていた。
「どっちに行ったかわかるか!」
…この怒り具合から、
エースを殴らないといいな。
「寮への扉は東校舎の奥さ。」
成る程、さっきレオナさん達に学園の事色々聞いておいてよかった。
…親切に答えてくれたのは、
目的がありそうだけど。
まぁいいか、今必要なのは、
エースを追う事。それだけだ。

辿り着くと、いた。
エースだ。
「窓拭き100枚なんて…、
アイツには少しだけ悪いけど。
狸はいいや。やってやれるか。」
あ、一応罪悪感は少しはあるんだ。
「こーーーらーーー!!!」
でっか!声。
どんだけ、不満溜まっていたんだ。
エースは、しまったという顔をしていた。
「げっ!見つかった! 
…何だよ、文句あんのかよ。」
俺に向かって気まずそうに、呟いた。
「別にないよ、来なかったら全部1人でやるつもりだったし。」
そう言った途端、エースの顔が曇った気がした。気のせいか?
「マジかよ!ダメなんだゾ! 
甘やかしたら!」
「そんなつもり無いって。
ただ、慣れているんだ。
1人で何かをやるのってさ。」
「…そ、分かった事があるわ。」
「?」
「オレ、アンタの事嫌いだわ。」
嫌い、ウザいそんな事言われ慣れている。
だから、いつもの調子で言った。
「そっか。」
「ッ!…帰る。」
「待つんだゾ!」
だが、エースはこちらを
振り向きもしなかった。
「くっそ〜、
あのままじゃ捕まらないだゾ!」
すると、鏡から人が出てきた。
グリムは大声で叫んだ。
「オイ!そこのニンゲン!」
「はっ?」
「ソイツを捕まえるのを手伝ってくれ!」
「えっ。」
混乱している様だ、そりゃあそうだろう。
いきなり手伝えって言われてもー。
「人を捕まえる?足を止める、いや縄で拘束する?」
マジか。
「それとも…えぇっと…」
「なんでもいいからぶちかますだゾ!
早く!」
グリムが無理難題を吹っかけてきた。
無理だろう、今回は諦めてー。
「なんでもいいから、いでよ!」
何、その適当な感じ。
「重たいもの!」
そんなんで、出るはずがー。
「ぐえぇっ!
ナンダコレ!?鍋!?」
…そんなのあり?
グリムは楽しそうに笑っているが、
心配だな。鍋の下敷きだし。
「ちょっと、やりすぎたか…?」
ちょっとどころじゃなくて、
かなりだと思う。
「酷い目にあった…。」
「大丈夫?」
エースは、俺の顔を見ると顔を背けた。
…完璧に嫌われたな、コレは。
「それにしても、逃げるなんて
君は一体何をしたんだ?」
エースは、拗ねた様に話し始めた。
「そこの狸と戯れていたら、
グレート・セブンの石像がちょっーと焦げちゃって、罰則として窓拭き100枚の刑が与えられただけ。」
真面目そうな少年は、驚いていた様だった。
「なっ!?グレート・セブンの石像を!?
それはダメだろう!…それと逃げるのに何が関係が?」
「めんどくさいじゃん、100枚とかさ。」
「ダメだろう、それは!!」
エースは、溜息を吐いた。
「さっきから、ダメダメばっかりじゃん。
なんならいい訳?…つーか、アンタ誰?」
「ルールや、校則は守るべきだ!
後僕は、デュース・スペード。
クラスメイトの顔ぐらい覚えたらどうだ。」
「真面目だな、アンタは俺の事分かっている訳?」
「えっと…。」
「分かってないじゃん。」
「と、とにかくハーツラビュル生として!」
あ、誤魔化したな。
エースは、何かに気が付いた様だ。
「…オイ、あの狸どこ行った。」
本当だ、グリムがいない。
こういう場合、ロクな事にならない。
グリムの声が響く。
「へっへーん!
あとはオマエらに任せたんだゾ!」
「あんにゃろう〜
オレを身代わりにしたな!?」
まぁ、自分1人でやればいいかなんて考えていたらエースに睨まれた。
「…アンタ、まさか全部1人でやればいいとか
考えてないよな?」
「当たり、グリムは逃げちゃったし、エースもやりたくないでしょう?
俺別に苦痛でもないし、1人でー。」
言い終わる前に、エースがデュースに向かって話しかけていた。
「オイ、ジュース!」
「デュースね、
エースも俺の事言えないじゃん。」
「うっせ!あの狸捕まえるの手伝え!」
「なんで僕が!?」
「そっちは、魔法使えないらしいから戦力外!」
そう、こっちで住むにあたり学園長が
軽いテストをしたのだが、結果は魔力?とか言うのが無いのが判明した。
それもあって、周りに認められて無い。
「行くぞ!ジュース!」
「誰がジュースだ!デュースだ!」
…やっぱりエースも、人の事言えない。

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