人生2周目〜ツイステの世界でやり直し〜(まとめ5)

※ツイステ2次創作の第1章の部分を加筆、修正して纏めたものです。

第1章〜真紅の暴君その4〜

植物園から戻ると、栗拾いを再開した。
グリムは、カゴに入っていく栗の数を
数えて教えてくれていた。
「いち、に…じゅーうなんだゾ!」
うん、いい感じ。
10にまとめた栗は別のカゴに。
カゴに移し替える作業をしながら、
ふと思い出した事があったので話す事に
した。
「植物園なんだけど。」
デュースがトングで栗を拾いながら、
聞いてくれた。
「うん?」
エースも気になるようで聞いてきた。
「植物園がどうかしたのかよ?」
なので、2人にレオナさんがいるから注意してねって言うことを伝えた。
「レオナさんが寝ている時があるし、
気をつけて。」
2人は、トングから栗を落とし素っ頓狂な声を出していた。
「ハッ?」
「えっ?」
…まぁこんな反応にもなるか。
もう少し詳しく話すか。
「さっき植物園でカゴとトング探している最中にあったんだけど、尻尾踏んじゃって…。
ちょっと絡まれるし、気を付けた方が…。」
デュース達は、溜息を吐いた。
「よく無事だったな。」
「ありえーねよ、尻尾踏んで無事だった
とか。」
2人同時に褒めるなんて…。
「照れるな。」
エースとデュースが同時に突っ込んできた。
「「褒めてねーよ!!」」

指定された数は集まったので、トレイさんの元に持っていった。トレイさんはパンパンなカゴを見ながら驚いた様に言ってきた。
「おかえり。ずいぶんー。」
まぁ、指定された数が多かったし。
「指定の数はあるので。」
トレイさんは驚いた顔をしていた。
「300個か!?よく数えられたな。」
グリム達に協力して貰ったし、それにー。
「暗算とか暗記とか得意なので。」
グリムは、嬉しそうにする。
「これならでっけータルトー。」
そんなグリム達に対して、トレイさんは残酷なことを言いつける。
「まぁその分、これだけの量を剥くのは
大変だと思うが…頑張れよ。」
それを聞いた途端にグリム達は、
口をあんぐりと開けて言った。
「えっ。」
「はっ?」
「フナッ!?」 
トレイさんの説明をよく聞かないで出て行ったのはエース達なワケだし文句は言えないと思うけど。デュースは、拾ってきた栗を
見つめながら呟いた。
「これ、全部か…気が遠くなるな…。」
デュースとか、こういう作業苦手そうだしな。あ、俺以外全員か?トレイさんが言う。
「お菓子作りは下ごしらえが大切なんだ。」
実家がケーキ屋だし、説得力が違う。
エースは、ヤケクソ気味に叫んだ。
「へーへー、分かりました!
こーなったらとことんやってやろーじゃん!」
…エース、もうヤケクソだな。

トレイさんは、もう既に容器などを用意していてくれた様で準備には時間が掛からなかった。容器に入れられた栗を見つめながら、
トレイさんは言ってきた。
「栗の皮を剥くにはコツがある。
魔法で効率的にやってしまおう。」
…まぁ、デュースとグリムしかいないけど。
俺とエースは魔法使えないし地道に手で剥いて行くコースか。デュースは、張り切っていた。
「頑張ります!!」
その様子が不安になり、声を掛ける。
「デュース、頑張り過ぎないでね?」
デュースは驚いた様に言ってきた。
「何故!?」
なぜってそりゃあー。
「デュースって肩に力入り過ぎると、
魔法上手く使えないし肩の力抜いて
やった方が…。」
俺の言葉にムキになったデュースは、
力を入れて魔法で栗を剥こうとした。
「そんな事はない!見ていろ!!
剥けろ!!」
だが、栗の皮は上手く剥く事が出来ず、
むしろ砕けた。
「何故!?」
それを見たエースは、爆笑しながら言った。
「アハハッ!!へったくそ〜!!」
そんなエースに対してデュースは、
ムキになって言い返していた。
「ムッ!!そう言うキミは…。」
だが、エースは想像したより器用だった。
「オレ?じゃーん!!」
それを見たデュースは、驚愕した。
「!!」
うわっ。めちゃくちゃきれいに剥けている。
「凄いな、エースは器用なんだな。」
トレイさんは、エースを褒めていた。
エースは、調子に乗った様に言った。
「まぁ、そこのヤツと狸とは違うんで!!」
エースが調子に乗っている。こういうのに
デュース達は乗りやすいし、心配だな。
そう思ってチラリとグリム達を見たら、 
ムキになっていた。
「ぐぐっ〜〜〜!!」
「見ていろ!僕だって!!」
…やっぱり。
「2人とも落ち着きなよ。
前にも言ったけど、落ち着いてない状態で
魔法を発動しても上手くいかないよ。」 
その言葉で、デュース達は落ち着いた
らしい。 
「そうだったな。…僕とした事が。」
「落ち着いてやるんだゾ!!」
これなら大丈夫かな?
「頑張って。魔法は?」
デュース達に確認してみた。
「「イメージ!!」」
うん、大丈夫そうだ。
「…。」
トレイさんに観察されている気がした。
「あの…、なにか?」
トレイさんは、柔かに答えた。
「いや?凄いなって。
…なにそのスピード。」
そんなにはやいか?普通だと思うけど。
「パシリで、身についた技術…?」
虐められていた時は、時間内になにかをしないといけないとかあったし。トレイさんは、
俺を見て納得した様に言った。
「…ケイトがなんとなく放って置けないって言っていたが、分かる気がするな。」
「?」
なんの事だ?そんなことを考えていたが、
デュースの気合いを入れた声が聞こえて
きた。
「よし!最後の一個だ!剥けろ!!」
その掛け声と同時に容器に入っていた栗は全て皮が剥き終わった。トレイさんは感心した様に言ってきた。
「凄いな。予想より早く終わったよ。」
グリムは、嬉しそうに言った。
「オレ様にかかればこんなもんだゾ!」
だが、まだ終わりじゃ無いみたいだ。
トレイさんは次の工程を説明した。
「よしじゃあ次は裏ごしだな。」 
グリムは、まだ作業があることに絶望した様な顔をしていた。
「えー!!」
「お菓子がそんなに、簡単に出来るハズないと思うけど。」
エースは、俺のことを見ながら言ってきた。
「くっそ腹たつ!!」

裏ごしが終わった頃には、エース達の顔が死んでいた。エースは、開放されたかの様に
叫んでいた。
「だ〜!やっと裏ごし全部終終わった!」
また、デュースは、手が疲れたみたい
だった。
「腕が痛い…。」
まぁ、確かに。
「疲れたね。」
グリムに突っ込まれた。
「見えねーんだゾ!?」
エースは、疑問に思ったらしく聞いてきた。
「テメー、運動苦手なのになんでこういうのは大丈夫なんだよ!?」
運動と比べれば、楽だけど。
「運動はさ、身体全体だけどこういうのは
身体の一部だし。」
デュースは、あり得ないと言った顔でこっちを見てきた。
「だとしても、凄いと思うんだが…。」
トレイさんは、そんな俺らを労ってくれた。
「はは。お疲れ。苦労した分、きっと上手いぞ。」
グリムは、クタクタになりながら言った。
「もう匂いだけでおなかいっぱいなんだゾ〜。」
グリムがゾンビみたいになっている。
トレイさんは、そんなグリムの様子に苦笑い
しつつ、マロンタルトの工程の続きを話してくれた。
「このマロンペーストにバターと砂糖を加えて最後に隠し味のオイスターソースを適度加える。」
エース達の衝撃は大きい様で、驚いていた。
スイーツを作る際に別の物を加えると更に美味しくなるってことあるし、今回もそんな感じかな?
「たまに料理のコクを出す為に敢えて、入れるなんてことがありますがそんな感じですか?カレーにチョコレート入れるみたいな。」 
トレイさんは、笑顔で頷いた。
「おっ!分かってんじゃねーか。
カキからたっぷり出た旨味がクリームに深いコクを与える。この『セイウチ印のヤングオイスターソース』。有名なパティシエならタルトにこれを使わないやつはいないぞ。」
…そんな話聞いたことない。それに「セイウチ」ってアリスの話にあったよな?セイウチに騙されて最終的に牡蠣の子供達は食われてしまうヤツ。『ヤングオイスターソース』だし、やっぱりアリスの話を思いだすな、この世界はディズニーの世界?にしては不思議な点が多いし…。デュースは、考え込む様に言った。
「マジか…。かなりしょっぱいソースだよな。」
そんなに?
俺らの反応に耐えられなくなったのか、
トレイさんが笑い始めた。
「…ぷっ!アハハッ」
あー、この反応は。
「ウソだったワケですね?」
トレイさんは、悪気も無く言ってきた。
「ちょっと考えれば、あり得ないってわかるだろ。意外だったな、ユウが引っかかるとは。」
…この人もこの学園の生徒だな。人を騙してといて悪気も無さそうな感じが。
「まぁお菓子方面の知識はないので。」
エースが文句を言う。
「なんだよ!本気にしちゃったじゃん。」
そんなエースを軽く受け流し、トレイさんは
言った。
「悪い悪い、なんでも鵜呑みにせず疑ってかかれってことだな。先輩からの教訓だ。」
グリムは、ジト目でトレイさんを見た。
「コイツ、優しそうに見えてさらっと嘘をつくヤツなんだゾ…。」
正直嘘はどうだって思う時あるけど、まぁ必要な嘘もあるし。…こんな感じでリドルさんに嘘ついていたのかな。そんなことを考えながら、トレイさんを見ていたらトレイさんはしまったといった顔をした。
「次に生クリームを…あっ!」
なにか問題でも起きたのか?
「どうかしましたか?」
トレイさんは、後悔した様に言ってきた。
「お前たちがたくさん栗を取ってきてくれたから調子に乗ってマロンペーストを作りすぎた。」
なるほど、つまりー。
「生クリームが足りない感じですか?」
トレイさんは頷いた。
「ああ…。」
足りないなら買うのが1番だ、完成しないと
困るの俺らだし。
「なら買ってきます。
学園の購買で、大丈夫ですか?」
俺の反応を見て、トレイさんは購買に行ったことがあると判断した様だ。
「おっ、その反応は行った事ありそうだな。」
まぁ、色々理由があってお世話になっているし。…基本なんでも手に入るし謎だよな、あの店。トレイさんは考えた上で、俺に買い出しを頼んできた。
「ついでに他にも買い出し頼んでもいいか?
牛乳2パック、卵2パックー。」
…めちゃくちゃ頼まれている気がする。
それを聞いていたデュースは、買い出しの
手助けを申し上げてくれた。
「さすがに1人では持ちきれないだろう。
僕もついて行くぞ。」
まぁ、助かる。この量は1人じゃ無理。
「ありがとう、助かる。」
どうやらグリムも来たいみたいだ。
「オレ様も行くんだゾッ!
もう粉をマゼコゼするの疲れた〜!」
まぁ、気分転換も必要か。
「エースは、どうする?」
エースに聞くと、椅子に腰掛けて断って
きた。
「オレはいいや。
ここで適当に休んでいるわ。」
無理強いは良くないし、エースは疲れているみたいだから休ませてあげた方がいいか。
「分かった、それじゃあトレイさん
行ってきます。」
声を掛けて出ていくと、トレイさんは
明るく見送ってくれた。
「おう!気をつけてな。」

調理室を出て行き、無事に購買に着いた。
購買の主がいないことに気が付き、辺りを
見渡す。
「う〜ん、いないな。」
購買の主を探していたら、デュースに声を
掛けられた。
「さっきの話からすると、ユウは普段から
来ているみたいだったな。」
なんなら、昨日も使ったばっかりだよ。
「まぁね。」

あれはいつだっけ?
そうだ、オンボロ寮に案内された時だ。
晩飯を持って来た学園長に言ったのだ。
「無理してもって来なくて大丈夫です、
調理場あるし自分で作ります。」
学園長は俺がそう言ってくるのは予想外だった様で驚いた様に言ってきた。
「そうですか、まぁ助かりますが…。」
学園長は助かるみたいだし、後はー。
「料理の材料とかってどこで、買えます?」
学園長は考え込む様にしながら、
言ってきた。
「それならー。」
そして案内されたのが購買であった。

購買に通う理由になった出来事をデュースに
話した。
「…って感じで、購買には頻繁には買いに来ているんだ。」
デュースは納得した様に頷きながら、聞いて
きた。
「成る程な…、どうして学園長に晩飯とか頼むのやめたんだ?」
なんでだっけ?なんかこの人、「治安維持」とか言って訳分からないのとか押し付けられてくるし、今後も押し付けられる可能性がありそうとか考えた記憶があるな。
「うーん、確か…、後で晩飯代として働けって感じで厄介ごと押し付けられる可能性あるかなって感じで考えていた気がする。」
デュースは、納得した様に頷いてきた。
「…もう治安維持っていう厄介ごと押し付けられているしな。」
ゴソッと奥でなにか動いた気がする。
デュースが前に立ち塞がってマジカルペンを構える。
「ユウ!後ろに!!」

その影は立ち上がると、陽気にあいさつを
してきた。
「ん?あ!いらっしゃい〜!!」
デュースがポカンとして、購買の主を見て
いた。
「へっ?」
ああ、サムさんか。いないと思ったら、
そんな場所にいたのか…。
「デュース大丈夫だよ、ここの店主の
サムさん。」
デュースは、肩の力を下ろした。
「ハァー〜、よかった!!
不審者じゃなくて!!」
サムさんは陽気に笑いながら言った。
「ハハッ!すまないね。備品の整理をしていてね!」
そんなサムさんにトレイさんにお願いされた
リストを見せた。
「あの、こちらの物が欲しいんですが…。」
グリムは俺によじ登ると、言ってきた。
「ツナ缶も欲しいんだゾ〜!!」
またか…。
「ダメ、まだオンボロ寮に残りあったでしょう?」
そんな俺に対してグリムは、文句を言って
いた。
「ケチなんだゾ〜!!」
サムさんは、渡されたリストを見ながら、
頷いた。
「なになに?生クリームと卵と…これはまたSweetなラインナップだ。OK!今出してくるよ。」
倉庫の奥に消えていくサムさんを見ながら、
デュースは感心した様な顔で見ていた。
「おぉ…本当にあるのか。」
そんなデュースに購買の特徴を言う。
「揃わない事なんてないと思うよ。
白米に、鶏肉、包丁とかここで全部
揃ったし。」
デュースは感心しつつ、疑問に思ったのかあることを聞いてきた。
「凄いな…、というかユウは随分と金を持っているんだな?」
持っているというかー。
「持ってないよ?」
デュースは驚いた顔をしていた。
「えっ。」
だってこの世界にきた際にはー。
「ここに来たとき、手持ち0だったから学園長が生活費を出してくれていたんだ。でも、それだけだと苦しいから毎月一万マドルを貰って生活している。必要最低限な道具は、学園長が出してくれてなんとか生活出来ている感じかな。」
デュースは、なにか思う場所があるのか俺を心配そうに見つめてきた。
「大変そうだな…。」
最初はね。俺が自分で調理するって言ってから食材とか送られてきたけど限度があって、同じ様な食事になるパターンが多かったし。
やっぱり学園長と取引してよかった。
しなかったら、生活費とか貰えなかっただろうし。生活費を貰えたことで出てきた問題もあるけど。学園長に「生活費代として一万マドル払うので、そこから食事代を出して下さい。…学費は全額負担しますが、それ以外はこれからは自分で負担して下さい。その為の生活費です。」とか言われたし。まぁ俺だけ全額負担とかだと、他の生徒から反感がくるし…、学園を維持するにもお金が掛かる。そんな中、生活費を出して貰えるだけありがたいのかも知れない。そういえば、寮代とかは生活費に含まれるんだろうか?そうなら、
一万マドルじゃ足りない気はするんだけど。
まだなんも言われてないし、寮代は学園長が支払ってくれているって考えていいのかな?
その内学園長に聞くか。俺は生活費のことを考えながらデュースに言った。
「まぁね、食費代グリムのツナ缶で1番減るし。」
デュースは、グリムをジト目で見ていた。
「…おい。」
グリムは、視線を感じてデュースに文句を
言っていた。
「なんだ!文句あんのか!!ツナ缶は大事
なんだゾ!!」
そんな話をしていたら、奥からサムさんが
出てきた。
「はい、お待ちどうさま。重たいけど
持てるかい?」
…これは無理そう。そう思っていたら
デュースが言ってくれた。
「そっちの重い袋は、僕が持とう。」
助かるな、やっぱりデュースに来て貰って
正解だったみたいだ。
「ありがとう。」
お金を払おうと考えて、レシートを見たら 値引きされていることに気が付いた。
サムさんを見ると、ニッコリと笑って
言ってきた。
「キミは、お得意さんだからね!
サービスさ!」
…この世界に来てから、人の優しさに
触れてばっかりな気がする。
「ありがとうございます。」
そう言って、店を出た。

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