人生2周目〜ツイステの世界でやり直し〜㉟
第三十五章〜学園長の相談〜
オンボロ寮に戻ると、グリムは愚痴を言っていた。
「あ〜…なにもかもやる気が出ねぇんだゾ〜…ソレもコレもマジフト大会に出られないせいだ。」
…まだ愚痴だけだしマシかな?
ゴースト達が近づきグリムを励ましていた。
「どうしたグリ坊。
なんだか最近毛艶が悪いな。」
「マジカルシフト大会に出れなくて拗ねているんだってさ〜。ヒッヒッヒ!」
励ましていると思っていたけど、そうでもないな。
「そんなにマジカルシフトがやりたいならわしらが相手してやるぞ。」
マジ?というよりゴーストってマジフト知っていたんだ。
「90年前はわしらも選抜メンバーに選ばれてキャーキャー言われとったんじゃ!」
90年前?このゴースト達って学園の卒業生?それとも学園で亡くなったタイプ?
グリムは、ムスッとしながら言った。
「7人いねぇと、できねーんだろう?」
「試合じゃなければ関係ないさ。
さあ始めるぞ!」
いや、待て。この中でやられても困る。
後ディスクなんかないよ?
「まって、ここじゃなくて外でやらない?
後ディスクはどこ無いけど…。」
「確かにここじゃ狭いな。」
「イッヒッヒ!ディスクは一階の物置にあるぞ〜。」
…探すか。
グリム達が裏庭に出ている間一回の物置を漁った。予想より探すの大変そう…。
「コレかな?」
…違った。マジフトの雑誌だ。
なになに、『マレウス・ドラコニア 圧勝!
サバナクロー生手も足も出ず!!』
マレウスさんの顔見れると思っていたけど、写真が切れていて見えないな。
『ディアソムリア寮優勝の裏には、マレウス・ドラコニアの影響あり。ディアソムリアは、100点越え、しかしその9割はマレウス・ドラコニアの力であり、我々はその圧倒的な力に気圧されるばかりである。これからもディアソムリア寮及びマレウス・ドラコニアの活躍を期待する。』
…えっ?なに?そのチート。
絶対戦いたくない。
ってこんなことしている場合じゃなかった。
ディスクはー、あった。
グリム達の元に急ぐか。
「お待たせ。」
「遅いんだゾ!」
「それじゃあ始めるぞ!」
俺は魔法を扱えないので、観戦する事にした。
「フナ〜!!」
「おっ、上手いじゃないか〜。」
…なるほど、ああやって浮かすんだな。
「よし!それじゃあユウ坊も参加しろ!」
「ハッ?」
無理。
渋っていたが、ゴースト達に無理矢理身体を浮かされてグリムの側にいた。
「…俺、魔力ないしすることない気が。」
「まぁ、グリ坊と走るとか指示飛ばすとかあるだろう。」
…死ぬほど疲れるヤツだ、それ。
そんな訳でグリムと走っていたのだがー。
「…疲れてきた。」
「はやいんだゾ!?」
いや、だって走るの超苦手。
グリムがディスクを浮かすの安定してないな。
アドバイスしてみるか。
「グリム、ディスク傾いているよ。」
「難しいんだゾ〜!!」
「ほら、魔法はイメージだからディスク浮くイメージをしてみて。」
「それが難しいんだゾ〜!!」
まぁ、ディスクが浮いているのってイメージしにくいよな。例を出してみるか。
「今、グリムが浮かべているのはツナ缶だとする。」
「ツナ缶!!」
「…例だからね。」
「それがどうしたんだゾ?」
「それが傾いたら、どうなるかな?」
「ディスクが?」
「まぁ、今はツナ缶だって考えてみて。
因みに蓋は空いている。」
「傾いたら…、中身が溢れてしまうんだゾ!」
「うん、中身が溢れない為にはどうしたらいいかな?」
「そりゃあ、傾けないで並行にー。」
「うん、そうだよね。
だからディスクを浮かす際にそのイメージでやってみて。」
「了解なんだゾ!ツナ缶〜!!」
…ツナ缶じゃなくて、ディスクだけどね。
良かった、上手く通じたな。
「ディスクの扱い分かってきたんだゾ!!」
よし、順調。
「バァ〜〜〜!!」
「フナ〜〜!?」
なるほど、妨害か。
「グリム、これ妨害だから気にしないで駆け抜けて。」
「でも、ぶつかったらー。」
「魔法はイメージ。ディスクは、マンホールの蓋をイメージして。」
「了解なんだゾ!」
「アッレ〜?」
「今のは、痛かったな!」
「グリム、イメージはー。」
「大丈夫なんだゾ!!これはしっかりイメージできるだゾ!!」
そう言って、グリムはディスクを相手の陣地に入れた。
「入ったんだゾ!!」
「やったね。」
グリムとハイタッチした。
「正直、予想外だったな〜。」
「ユウの指示が良かったんじゃな。」
「やられたな。」
そんな感じで盛り上がっていたら見知った声がした。
「おやみなさん。マジカルシフトですか。」
「げっ。今一番テンション下がるヤツが来たんだゾ。」
「グリム、気持ちは分かるけどダメだよ?
一応歓迎してあげないと。」
「貴方、本当に失礼な子ですね!?」
「で、なんか用ですか学園長。」
「君たちに頼みたいことがー。」
「あ、お帰りはあちらです。」
「ちょっと!?」
だって絶対厄介ごと持って来たんだろうし。
「とにかく!話したいことがあるので失礼しますね!」
そう言って学園長は、オンボロ寮に勝手に上がり込んで来た。
学園長は、談話室で優雅に紅茶を飲んでいた。なんでここに来る人、みんな自分の家の様に寛ぐワケ?
「なんなんだよ頼みごとって。
手短に話すんだゾ。」
「…貴方も中々失礼ですね、まぁいいでしょう。実は最近、学園内で不審な事故による怪我人が続出していまして。それについての調査をお願いしたいのです。…治安維持としてね。」
やっぱり厄介ごと持ってきたな。
「怪我人〜?」
「ええ。階段からの転落や、熱湯による火傷など…。」
「それが不審な事故だと思った理由は?」
「ほぅ。」
「階段の転落や熱湯による火傷は、本人の不注意で起こりうる事故だ。それを不審な事故と思った件があったわけですね?」
学園長は、紅茶を机に置くとゆっくり話始めた。
「…保健室の利用が増えましたから。例年よりも。しかも全員重傷には至ってない。」
「例年よりと言うと、割とこういう事は起こりやすいのですか?」
「…マジカルシフト大会が近づくと、学園全体が浮つくのは確かです。」
それは、レオンさんからも話は聞いている。
「ですが、怪我人が10人目。しかも、怪我をした全員が今年の大会の選抜メンバーに選ばれると注目されていた生徒となると…。」
ここ最近の出来事を思い出す。
ラギーさんの忠告、モストロ・ラウンジでの盗難騒ぎ、そして今回の不審な事故。
たまたまと言えばそうだが、全てマジフト大会に繋がっている気がする。
「…怪しいですね。」
「ええ、ですが事件とするには確証がなにもない。」
あくまで推測だ、ハッキリとした証拠がないと捕まえるもない。
「全ての事故は人の目があるところで起きていてしかも目撃者は口を揃えてこう言うんです。「本人の不注意にしか見えなかった」と。」
「目撃者が誰かに脅されていたと言う線は?」
「…話を聞いた人は全員脅されたと言う感じはしませんでした。」
「ふーん、ならソイツらがドジってことなんだゾ。はい、解決ぅ〜!」
うーん、凄い投げやり。
個人的に気になるし、協力してもいい。
グリムがこうだと難しいけど。まぁ学園長のことだ、なんかしらお礼とか持ってきた可能性はある。…そうしないとグリム動かないし。
「で、もちろんタダでと言うワケじゃありませんよね?」
学園長は、ニンマリ笑って言った。
「勿論。…私、優しいので。」
「なら教えて貰います?」
「ええ、勿論。協力してくれたら、マジカルシフト大会の出場枠…というのはいかがですか?」
「えっ!?」
凄いな、グリムが一番欲しいのを見事に持ってきた。
「事件解決の暁には、君たちの寮にマジカルシフト大会出場枠を用意して差し上げましょう。」
「ふな…ふなぁ…!?」
更に学園長は畳み込める。
「大会に出られればその雄姿は世界中に放送。さらに満席の喝采を浴びることができますよ。」
…学園長上手いな、出場枠しか貰えないし決勝戦に出してくれるとか言ってないから、
まぁ詐欺だよなぁ。
「うう〜!!」
「ですが、今回はご協力いただけないんでしたよね。残念ですが、この話はなかったことに。」
「ちょっと待った〜〜〜!
やる!やるんだゾ!」
グリム完全敗北。
「おや?確かー。」
「マジフトに出してくれるなら、話は別だ!!なっ、ユウ!」
いや、俺はマジフトは興味ないけど。
まぁ、乗っておくか。
「…そうだね」
「そうと決まれば!早速聞き込みに出かけるんだゾ!」
「2人とも、頼みましたよ。」
…今回は、学園長の思惑通りか。
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