人生2周目〜ツイステの世界でやり直し〜㉞

第三十四章〜マジカルシフト〜

モストロ・ラウンジで働いて良かったこと。
①収入が入るのでお金に困らない。
②情報が入ってくる。
③賄いが美味い。

モストロ・ラウンジで働いて悪かったこと。
①とにかく物騒な場所に作戦担当者として
駆り出される。
②双子が厄介。
③血を見た日の方が多い。

そんな事をエース達に話したらー。
「…物騒過ぎねーか!?」
「…恐ろしいな。」
「…アイツら最悪なんだゾ。」
げっそりした顔で、グリムは言った。
「まぁ、慣れたけど。」
「慣れるの早すぎだろ!?」
そうかな?
「あ、そろそろ時間だからいくね。」
「…よく逃げようとか思わねーな。」
まぁ、金は手に入るし。
「逃げたら、もっと最悪な未来が待って
いるよ。」
「どんな!?」
これはガチ。

いつも通りモストロ・ラウンジに来たの
だがー。うん、なんか賑わっているな。
「ユウ!皿洗い手伝ってくれ!」
これは忙しそうだな。
「いいですよ。」

皿洗いバンザイ、なんて素晴らしいんだろう。血が舞ってない、最高。
「…なぁ、気のせいか?なんか嬉しそうだな?」
「あ、分かりますか?レオンさん。」
「まぁ、なんとなく。」
「皿洗いは、血が舞わない。」
「そんな感想持つの、アンタだけ!」
「えっ?」
マジ?
「…フロイド先輩たちと一緒にいることが多過ぎて感覚マヒしてるよ、絶対。」
…そんなことは、あるか?
「ないよね?」
「あるんだゾ。」
「…。それにしてもずいぶん賑わっているというかー。」
「まぁ、もうすぐマジフト大会だし。」
「マジ布団大会?」
「どんな聞き間違い!?マジフト!」
「マジフトってなんです?」
「マジ!?マジフト知らないヤツ初めて
見たな!!」
…そんなに?この世界じゃメジャーなの?
マジ布団、違くてマジフト。
「まぁユウは別世界から来たって話だし、
しょうがないのかな?」
「教えてもらっても?」
レオンさんは、頷くと説明し始めた。
「マジカルシフト、通称マジフトは7人ずつにチームに分かれて競うスポーツで、世界的にも有名でプロリーグもあるし、世界大会も
ある。」
世界的って言われても、俺この世界について詳しくないしな。
「世界って言われてもピンって来ないです。
ちなみにどんな世界があるんです?」
「そこからか!しょうがない!
説明してやるよ。」
レオンさんは、やっぱりいい人だ。
…そんな人からお金取ろうとか考えていた
けど。
「まず薔薇の王国な。」
「なんかハーツラビュル生が多そう
ですね。」
「実際多いよ、リドル寮長なんかもそこ出身らしいし。…まぁ国に対してはあんまり詳しくなくてある程度広いぐらいしか…。」
まぁ、そんなもんだよな。
俺も日本以外の国の特徴を述べよとか言われたら完璧に言える自信ないし。
「次は夕焼けの草原。ちなみに俺の出身も
ここ。」
「へー、どんな国なんです?」
「百獣の王が収めている国で、豊かな自然が特徴で色々な獣人が暮らしているよ。ちなみにサバナクロー生出身が多いかな。」
そうなんだ、アレ?でもレオンさんってー。
「あ、疑問に思っている?夕焼けの草原出身なのにオクタヴィネルにいるの。」
「まぁ…、はい。」
レオンさんは、苦笑いしながら話してくれた。
「俺の一家ずっとサバナクロー出身で、みんな首席レベルの成績だしているんだ。
…そんな中で俺だけオクタヴィネル。おかげで落ちこぼれ扱い。俺の家族サバナクローに誇りもっているからさ。」
…別に寮が全てじゃないし、落ちこぼれはいいすぎだと思うけど。
「レオンさんは、ユニーク魔法持っているしそんなに気にしなくてもー。」
「うん、分かっているんだけど…、染み付いた価値観って変えられないだろう?ユニーク魔法も隠れる系だし。よく兄さんに比べてって言われて育ったし。
兄さんと比べたらカスー。」
「そうですか?」
「えっ。」
「レオンさんは、オクタヴィネルでも上位の成績だしもっと誇っていいと思います。」
「でもー。」
「周りの目というか、家族のことが気になるんでしょう?」
「…うん。」
「なら、オクタヴィネルで首席レベル取って
家族に文句なんか言わせない様にすれば
いい。」
「…ユウってまっすぐだよな、たまに見ていて眩しくなるや。」
そうかな?むしろひん曲がっているって思うけど。
「…話が逸れたね、次は珊瑚の海。」
「なんか人、住めなそうですね。」
「うん、だって人魚の国だし。」
今、人魚って言った?いや、魔法とかある世界だし人魚がいてもおかしくないか。
「この国については、ごめん。
詳しくないな、言えるのはオクタヴィネル生が多いってこと。」
まぁ、海の中となると詳しくは分からないだろうな。
「次は熱砂の国。」
「なんか砂漠ぽい名前。」
「うん、そんな感じ。
スカラビア生が多くて、カレーとか煮込み料理って言うのかな?そういうのが主食。」
…インド?毎日カレーが主食だったりして。
「次は輝石の国。」
「なんかセレブが沢山住んでそうですね。」
「どんな!?まぁポムフィオーレ出身多いし、間違ってはないのか…?」
あー、確かにセレブぽい。手袋投げ付けて決闘挑んで来そうだし、ポムフィオーレって。なんか前も同じこと考えていたな、俺。
「次は嘆きの谷。…うん!よく分かんない!」
「えっ?」
「イデア寮長とか出身だけど、謎っていうか…。」
そもそも名前からして不吉。
なんだよ、「嘆きの谷」って。
誰か死んで、嘆いているみたいな名前じゃん。
「で最後は茨の谷なんだけど…。」
あ、これも分かんないタイプかな?
「よく分からなくて、マレウス寮長が出身ぐらいしかー。」
茨の谷、だもんなぁ。茨だし、人とか簡単に入れない気がするけど。
「まぁ、俺が分かっているのこんな感じかな?」
「大変分かりました。ところで…。」
「うん?」
「なんの話してましたっけ?」
「なんだっけ…。あっ!マジフトだ!」
そうだった、途中で世界の話が出たから聞いたんだ。
「えーっと、どこまで…。」
「7人に分かれて、競うスポーツとしか。」
「凄いな!記憶力がいいと言うか…。」
まぁ、そのせいで忘れたくても忘れられないとかあるんだけど。
「簡単に説明すると、1つのディスクを奪い合って相手の陣地にあるゴールに入れれば得点になって、沢山点を取った方が勝ちなんだ。」
「なるほど、アメフトみたいなもんか。」
「あめふと?」
「ああ、こっちの話なので気にしないで下さい。」
「まぁ、ユウが出るのは難しそうだけど。」
「なんでなんだゾ?」
「マジフトは、魔法を使ったスポーツだし魔法が使えないユウは…。」
レオンさんは、言いにくそうにしていた。
「まぁ魔法が使えても絶対に参加しなかったですね。」
「なんで?」
「激しい運動とか嫌いですから。」
「ユウぽいなぁ。マジフトはディスクを運ぶのも守備も攻撃も魔法。どんだけ魔法を派手に魅せられるかも選手の腕にかかっていて!!」
「レオンさんって、マジフト好き?」
「嫌いな人いないと思うよ、ナイトイレブンカレッジはマジフトの強豪校としても有名だし、学園から出たプロ選手とかいるし。
…俺の兄さんもマジフト得意だったし。」
うーん、また濁った。気にしなくていいのに。
「だから、こんなに賑わっているんですか?」
「まぁね、テレビカメラで中継もされるし当日は出店も並んだり、世界中の魔法関係者の注目が集まる日でもあるし。この大会に本気出している人もいるんじゃないかな?」
…マジで、学生のイベント?
俺の学生の頃のイベントと違い過ぎる。
「テレビ!?」
あ、グリムが食いついた。
「それに出ればー!!」
「うーん、グリムは無理かも。」
「なんでなんだゾ!」
「あ、そうかチームごとに分かれてで尚且つ7人。2人の俺らには無理か。」
レオンさんは苦笑いしながら頷いた。
「そういうこと、でも当日は出店の手伝いとかやることはいっぱいあるし。」
「うう〜〜!!」
唸っているグリムを見てレオンさんは、
不安そうに呟いた。
「…ねぇ、大丈夫?暴走しない?グリム?」
確かに不安。
「見張っておきます。」
「なら、安心だ。」
2人で笑いあっていたら冷気を感じた。
「…皿洗いにいつまで時間を?」
やばい、ボスがきた。
本気でやるか。

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