人生2周目〜ツイステの世界でやり直し〜㉗
第二十七章〜仲直り〜
「トレイさん、なかなか目覚めないね。」
「まぁ、あんだけ暴れたし…。」
「トレイ…。」
そんなことを話していたら、トレイさんが目を覚ました。
「…ここは?」
「ハァ〜…、マジ、もう起きなかったらどうしようって超焦った…。」
「トレイ…、なにか痛い場所とか…。」
「俺、本当はずっと子供の頃リドルを連れ出したのは正しかったのか悩んでいて…。」
「えっ?」
「学園で再開したとき、リドルはルールに縛られていて…子供のころ外に連れ出さなければ…こんな酷いことに…。」
「…。そんな訳ない。」
「えっ…。」
「あのとき、トレイ達が連れ出してくれたから世界が広がったんだ。…だから感謝している。ありがとう、トレイ。」
「そうなんだな…、俺もっと早くにリドルと話すべきだった。」
「ああ、全くだ。」
「だね〜。…でトレイくん、殴られる覚悟は?」
「えっ。」
「えっではない、勝手な行動して!
ルール違反だ!首をはねるぞ!」
…あ、寮長が泣いている。
「トレイく〜ん?重罪だね?」
「うっ、いや、そこまでとは思わなくて!」
うん、トレイさんもめちゃくちゃ動揺しているし。
「…居なくなると思った。」
「…。」
「ボクは、そんなこと望んでない。
…確かにお母様はトレイ達のことを良く思ったないけど、ボクにとってはトレイ達と遊んだ時間は大事なもので、宝物なんだ。」
「リドル…。」
「だから!今回みたいに勝手な行動したら
首をはねるよ!?」
「ああ…。」
「重罪だね〜、気をつけないとね!
トレイくん!」
なんか丸く収まりそうでよかった。
「さて、殴られる覚悟は?」
…そうでもなかった。
「出来ている。」
「じゃ、リドルくん。」
「えっ。」
「今回、1番心配したのリドルくんだし
その役目は譲るよ〜!」
寮長は、迷っていたがやがて覚悟を決めてトレイさんを叩いた。
ぺちっ。
うん、可愛いもんだな。
「リドルく〜ん?」
「うっ、だって殴るのは流石に!」
「あっれ〜?10発とか言ってなかった?」
「それは、つい!」
…そろそろ止めるか。
「ケイトくん、からかうのはその辺で。」
「ケイト!?」
「今まで苦労かけられた分って事で。」
「…うん、そうだな。
それなら受け止めよう。」
寮長は、ボロボロになったハーツラビュルの庭を見て呟いた。
「これから、ハーツラビュルはどうしていくべきだろうな…。」
まぁ、全員反逆しちゃったし。
「まずは、全員でルールを決めるところからではないでしょうか?」
「えっ?」
「寮長はハーツラビュルのルールを全て守ろうとしていましたが、別に全部じゃなくていいと思います。」
「まぁ、オレもルール覚えてないのあるし。」
「だから、全員で考えるんです。
守るルール、別に守らなくてもいい
ルール。…ハーツラビュルは、もう寮長1人の国じゃないですから。全員で決める必要があると思います。」
「全員で話し合う、か。」
…それが以前のハーツラビュルに足りなかった部分。今のハーツラビュルならきっとー。
「ならば、さっそく話し合わないとな。
…ハーツラビュルをよりよくする為に。」
「もちろん、オレも協力するよ〜!」
「俺も…。」
「その前に、トレイはしっかり休息を取れ。」
「うっ。」
「とりあえず医務室に連れていくね。」
「なら、後片付けは任せて下さい。」
「ありがとう〜!」
そんな訳で、トレイさんが暴れた庭をハーツラビュル生全員で掃除している訳なの
だがー。
「…予想より手間がかかるね。これ。」
「しょーがないだろう、あんなに暴れたし。」
「でも、アレって結局なんなのかな?」
「オーバーブロットするとは!!」
背後からいきなり現れて大事をだす学園長。
「「うわぁぁぁ!!」」
「フナァァァ〜〜〜!!!」
…みんな驚き過ぎでは?
確か闇落ちバーサーカー状態だったかな?
「闇落ちバーサーカー状態だって、聞きました。」
「…そんな感じです。
オーバーブロッドは、魔法士が1番避けなければいけない状態です。」
「それってどういう意味ですか。」
「それはー。」
「オイ!いつまで話してんだ!」
あ、ピーちゃんだ。
「真面目にやれ!いつまで経っても
終わんねーぞ!!」
「…彼は、本当にスパイを?」
「…無理だろ。」
…俺も思うよ。
後学園長の前で、スパイとか言ったけどー。
まぁ、生徒の情報は詳しそうだし
大丈夫かな?
「すいません、お邪魔して。」
「いえ。」
「また近いうちに、話しますよ。」
そう言って学園長は消えた。
「たっく、なんだったんだよ…。」
「アレ?グリムは?」
「くんくん…、コレ、ドワーフ鉱山で落ちていた黒い魔法石と同じなんだゾ!」
「本当だ。…グリム、食べちゃー。」
ダメだよ、と言おうとしたがグリムは早かった。
「いっただっきまーす!」
パクリ。
「んまーい!!」
…拾い食いが癖になっているのかな?
「また食べちゃったな…、ツナ缶だけじゃ足りないのかな?」
「コイツがゲテモノ食いってだけだろう。」
「オーマーエーラー!!」
ピーちゃんが、本気だ。
「…そろそろ本気でやろう。」
「だな。」
数日後、俺はハーツラビュル寮に呼ばれていた。なんでも『なんでもない日』パーティーに参加して欲しいとの事。
「リドル寮長バンザーイ!」
と言った声が聞こえてきたり、あたりは明るく感じた。…前よりずっとよくなったな。
「ユウ!来てくれたのか!」
「誘われましたし、ハーツラビュルの様子が気になりましたしね。…前よりずっとよくなりましたね。」
「ふふっ。そうだろ。
みんなで、話し合って決めたんだ。
…ユウの言う通りだったな、全員で話し合って良かった。」
「ハァー、疲れたわ。」
「そうか?なかなか楽しかったぞ!」
「みんな、ご苦労様。
後でマロンタルトを食べよう。」
「やった!」
「楽しみです!」
寮長の様子が変だった。
「どうかしましたか?」
「…白い薔薇があるね。」
「いや、これは!!」
…打首コース?いや、この感じはー。
「…なんてね。もう薔薇の木の1本や2本で罰したりしないさ。」
「変わりましたね、寮長。」
「えっ、そうかな?」
「心に余裕が出来たと言うか…、俺は今の 寮長の方が何倍も好きですよ。」
寮長は、ジト目で俺を睨んできた。
「…キミってタラシとか、
よく言われない?」
…どうだろう?なかった気がする。
前はそんなに人に好かれてなかったし。
「見たか?」
「見たんだゾ。」
「ユウちゃんの将来が、末恐ろしいわ〜。」
「…見事なもんだな。」
「身を将来滅ぼしそうだな、アンタ。」
…何故?みんな酷くない?
寮長は、笑いながら言った。
「発言には、気をつけろと言う教訓だな。
さて、薔薇の色を塗るのを手伝って貰おう。」
「まぁ、この人数なら早く終わりそうです。」
寮長の指示の元、薔薇を塗る事が出来た。
「…よし、これで。」
「うん、完璧だ。」
終わったし、帰るかと考えていたら寮長から声を掛けられた。
「…ユウ、ちょっといいか?」
「はい、なんですか?」
「ユウには、感謝している。
キミがいなければ、トレイを救う事は出来なかった。」
「いえ、エース達と寮長の力のおかげでしょう。」
「それに、ユウはボクにハッキリと意見を言ってくれるありがたい存在だ。だからー。」
寮長は、口籠もって上手く言えないようだった。それを見かねたトレイさんとケイトくんがサポートに入る。
「いや〜、ユウちゃんには是非ウチの寮長と友達になって欲しくてね。」
「ああ、頼めるか?」
「!!」
顔を背け続ける、寮長だったが答えは決まっていた。
「いいですよ、友達だからリドル?」
「リドルでいい、後敬語も要らない。
…これからよろしくユウ。」
「こっちも、よろしくリドル。」
そう言って、差し出された手を握り返すのであった。
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