人生2周目〜ツイステの世界でやり直し〜㉖
第二十七章〜薔薇の騎士を救え〜
隠れながら寮長の様子を伺っていた。
けれども、かけたユニーク魔法は短時間。
ならばー。
「…あれ?出るタイミング分かった?」
「だってかけたユニーク魔法は、短時間だしね。」
寮長の元に走っていく俺らをみて、寮長は馬鹿にした様に笑った。
「ハッ!なんだい?なんの対策も立てずにくるとは!『首をはねよ!』」
うん、ビンゴ。
やっぱり寮長って、頭に血が昇りやすいと言うかー。俺が前に出てくれば真っ先に狙って来るって思っていた。
寮長は、ユニーク魔法が効くと考えていたのだろう、しかしー。
「なっ!?」
ユニーク魔法は、跳ね返り寮長の首に嵌った。
「これは!?」
「…トレイさんのユニーク魔法で、跳ね返せて貰いました。」
「トレイィィィ!!」
「呼んだか?」
トレイさんは、そう言って寮長の前に出てきた。
「トレイ!貴様!ボクより上だと!?
ありえない!」
「…俺のユニーク魔法は、落書きだから
短時間しか出来ないし、リドルほどじゃない。」
「ボクをバカにー!!」
「してないさ、言わなくちゃいけないことがあって来た。」
「なに!?」
「ごめん。」
そう一言だけトレイさんは、言った。
それは寮長も予想外の事で呆けた顔をしていた。
「…えっ?」
「…俺は、本当ならリドルに言うべきだった。やり過ぎだって。…でも、言わなかった。リドルがルールに厳しい理由も知っているから。」
トレイさんは、寮長のマジカルペンを見ていた。
「…ちょっと暴れ過ぎたな、今回の件は俺の罪。…だから罰は受けるよ。」
そう言って寮長のマジカルペンとトレイさんのマジカルペンを交換した。
「『薔薇を塗ろう』
そうトレイさんが言ったのと同時に、寮長の首輪は外れた。しかし、トレイさんの様子が変だ。
「まさか!!」
なんでケイトくんは焦ってー。
な…んだ、アレ?
瞳には炎がともっている。
姿も違うし、絶対いつものトレイさんじゃない。
「まさかオーバーブロット!?」
寮長は、焦っていた。
そして、声をかける。
「オイ!トレイ!どういうつもりだ!
どうして!どうしてボクのマジカルペンと交換した!!」
「最高の気分だ!!」
そう言って寮長に攻撃してこようとした
がー。
「フナ〜!!」
「オラァ!」
「!!」
…うん、2人とも息ピッタリ。
いや、俺が指示したけどゴメン。
…薔薇の木よ、安らかに眠れ。
呆然としていた寮長だが、ケイトくんに引っ張られその場から逃げた。
「アレ、なんだよ!?」
「確かオーバーブロットとか言っていましたね。」
「簡単に説明すると、『闇落ちバーサーカー状態』ってコト!!」
…なるほど、確かに闇落ちぽい。
気になるのはー。
「どうしてトレイさんは、マジカルペンを交換したんですか?」
「…簡単にいうとね、魔法を使うと汚れが貯まるんだ、リドルくんのマジカルペンをみて罰を受けるって言っていたからリドルくんの代わりにオーバーブロットしたんだろうね…。」
寮長は、分からないと言う顔をしていた。
「なんで?庇う必要ないだろう…。」
マジカルペンの仕組みも良く分かってない、けどアレは危険なものだってことぐらい分かる。
「…寮長を止められなかった事を後悔しての行動でしょうね。」
「えっ?」
「寮長に何も言わなくて、この結果を導いたって考えてー、だからこそ罰は受けるなんて言い始めた。」
寮長は、驚いた顔をした後に呟いた。
「…謝るのはボクだろう。トレイが何も言わないことをいい事に暴れて…。」
「…リドルくん。」
「だが、それとは別にトレイには文句を言いたい気分だ!!なんで何も言わずに勝手な行動をする!?ボクの気持ちはガン無視か!」
…あの寮長が荒れている。いや、さっきも荒れていたけど種類が違うと言うかー。
「…ど〜うかん。ちょーっとどうかって思うな!トレイくん!」
…口調は、いつも通りだけどめちゃくちゃ怒っているな、ケイトくん。
「…なら、トレイさんを殴らないと。」
「そうだな、10発ぐらい。」
「甘いね〜、100発だ!」
…まぁ、今回はトレイさんが悪かったってことで。
倒すのはいいが戦力が足りない。
…2人は首輪はまっているし。
すると、寮長は、エース達に近づき首輪を外した。
「えっ?」
「…自分勝手なのは分かっている、けれどもトレイを救いたい。その為にみんなの力が必要だ。どうか力を貸してくれ!!」
あの寮長が頭を下げて、心からエース達にお願いしていた。
「…顔を上げて下さい、寮長。
寮長のした事全て許せるわけじゃないけど、クローバー先輩を救いたいのは同じです。」
寮長は、その声に顔をあげる。
「…オレも寮長の事ゆるせーねって、
部分あるけどアンタがトレイ先輩を本気で救いたい気持ちは分かった。」
だからー、とエースは前置きした後に言った。
「力になってやるよ!寮長!」
周りを見ると、全員が同じ顔をしていた。
「…みんな、ありがとう…。」
「お礼を言うにはまだ早いんじゃない?
まずはトレイくんを救わないとね!」
「ああ…。」
寮長は、瞳を閉じて一拍置いた後に目を開けてエース達に命令を下した。
「トレイを救うぞ!ケイトをリーダーに攻撃しろ!」
「「「はい!寮長!!」」」
それは、今までの恐怖からくる返事ではなく
心からの返事だった。
エースが先制攻撃を仕掛ける。
「くらいやがれ!」
「効かねーよ!!」
「なっ!?」
攻撃は、打ち消された。
あれは恐らくー。
「ユニーク魔法かな。」
「…なるほどね。」
「さっきボクにしたヤツか!
攻撃が効かない様に上書してしまえば…。」
「どうするんだゾ!?ユウ!!
攻撃が打ち消されるなら、打つ手なしー。」
「ううん、そんなことない。」
「えっ?」
「トレイさん言っていたでしょう?
効果は短時間、落書きみたいなものだって。」
「そうだとしても隙がないんだゾ!!」
「だから、寮長のユニーク魔法にかける。」
「えっ?」
寮長は、驚いているようだった。
「あんな姿しているけど、トレイさんなのは変わらない。だからユニーク魔法も使えた。だから、寮長のユニーク魔法も効くはずなんだ。」
ケイトくんは、気が付いたようだ。
俺の作戦に。
「つまりアレか、オレのユニーク魔法や
エースちゃんの攻撃に気を取られている間にリドルくんのユニーク魔法で、力を封じるって感じ〜?」
「そんな感じです。」
「リドルくんの負担大きくない〜?」
…そうこの作戦の問題点は、エース達を犠牲にする所がある。寮長が要なので、仕方ない所はあるが。
また、寮長が失敗したら作戦は崩れる。寮長の心は耐えきれるのかー。
「やろう。」
寮長は、そう言ってくれた。
「いいんですか?」
「ああ、この事態を引き起こしたのは
元はボクの責任でもある。エース達を犠牲にした結果、恨みをかうとしても受け入れるつもりだ。」
「だから、そうさせないよ〜。
そのためのオレだし。」
「ケイト。…ありがとう。」
寮長は、覚悟を決めてトレイさんを見つめた。
「エース、デュース、前に!」
寮長は、まるでチェスの駒を動かす様に的確に指示を飛ばしていた。
「だからよぉ!意味ー。」
「じゃーん!!」
「これは!!」
「…トレイくんは、何回も見ているから知っているよね。オレのユニーク魔法。」
「ああ!だから、継続時間も短い事もー!」
「すごいね!さっすが、トレイくんだ!!
…今回はさ、リドルくんがめちゃくちゃ頑張ってくれてるワケ。なら!オレも本気出さないとね!!」
そう言って、ケイトくんは分身を2体追加した。
「なっ!?あり得ない!最大で…!!」
「4体、でしょ?分身増やすとさぁ!体力使うし、やりたくないけど!リドルくんが頑張っているのに、オレが頑張らないのはさぁ!!」
「…厄介だな!!」
「あはは〜!どうも〜!
…それに今回本気出しているのはリドルくんの為だけじゃないよ!」
「なんだと?」
「トレイくんの側にいて、よくないって思っていたのになにも言わなかった!しなかった!だから!この戦いはオレ自身の戦いでもあるんだよね!」
「だまれ!だまれ!だまれ!!」
「だまらない!後、どこ狙ってんの?
全然当たってないんだけど!!」
「ちょこまかと…!!」
…そろそろ限界のはずだ、ケイトくんは。
「寮長、行けますか?」
「任せたまえ、ボクを誰だと思っている?」
「真紅の暴君ー、いや今は違いましたね。
真紅の仁君ですね。」
「…そんなこと、ないと思うけど。」
「あなたは、暴君だった頃の自分を悔やみ
人を救おうとしている。充分では?」
「…そうか、まだはやい気はするがその名に恥じない行動をしたいな。ーその一歩として!」
寮長は、トレイさんに向き合う。
トレイさんは、ケイトくんの相手でこちらに気が付いてない。
エースが、デュースが、グリムが、ケイトくんが寮長を信じている目をして見ていた。
寮長は、息を大きく吸うと呪文を唱えた。
「『首をはねろ!!』」
そして、見るとトレイさんの首には首輪が嵌められていた。
「な…っ!!」
「さすがのトレイでも、気が付がなかった様だね?」
「リドルゥゥゥ!!」
「キミのユニーク魔法は、強力だ。
しかし、魔法が封じられている状態ならどうかな?」
「グゥゥゥ〜!!」
「…ごめん。」
「なぜ、あやまる?」
「トレイの苦しみを理解しようとしなかった。結果的にトレイをこの様な姿に…。」
トレイさんは、狼狽していた。
「ちがう、ちがう、ちがう!!
悪いのはリドルじゃー!!」
…今がチャンスか。
「今がチャンスかな、一斉攻撃。」
「…相変わらずだな。」
「ありがとう。」
「褒めてねー!!」
狼狽しているトレイさんに向かって、全員で一斉攻撃をした。
「これで終わりだ!トレイ!」
トドメは寮長の攻撃だった。
「うっ!なにがいけなかったんだろう…、
あのときリドルを遊びに誘わなきゃ良かったのかな…。」
そう呟くと元のトレイさんの姿に戻っていった。
「トレイ!」
「トレイくん!」
寮長と、ケイトくんがトレイさんの元に走って行った。
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