人生2周目〜ツイステの世界でやり直し〜①

一章〜始まり〜

額を思いっきり殴られる。
ドカッ!
痛い。
「オイオイ、やり過ぎ。」
「別に良くね?なーにも言わないし。」
言わないじゃない、言えないだ。
「コラー、お前ら!!」
「ヤベー、上川だ!!」
上川隆也、体育の先生で声が大きい。
俺に近付いてくると、
「何も、なかったよな?」
笑顔でそう言ってきた。
…まただ、また。
でも、何も出来ない。
だから、コックリと頷いた。
「よし!帰りなさい。」
それを聞いて、教室に戻るとカバンが無い。
多分アイツらが持って行ってのだろう。
これでは、帰れない。
そう思っているとー。
「アッレ〜、カバンないの〜?困ったね?」
「…。」
「土下座したら、カバン返すけど?」
家に帰るのが遅いと、親に何を言われるか分からない。両親は、他界しており親戚に引き取られたのが俺だ。
だから、土下座する。
「…返して下さい。」
「うっわ!マジ?プライドとか無いわけ?」
「必要なら、服も脱ぎます、だからー。」
俺の態度にイライラしたのか、
「…マジありえんわー、帰る。」
それだけ言ってカバンを返してくれた。
「アレ?いいの?」
「いいって言ってんだろ!!」
あまりの剣幕に周りはビックリして、黙って着いて行った。

取り残された俺は、消えた幼馴染を見て、
「…俺の所為、だよな。」
そう呟いた。
斉藤蓮、俺の幼馴染。
一番の親友で、仲良しだった。…昔は。
俺の両親が他界してから、親戚に引き取られた。親戚は、両親と比べると格式が高く無い。それを蓮の両親はあまりよく思わなかった。蓮の両親は、格式の高さを重視していたから。…だから言った。
「もう仲良くしない方がいい」と。
当然蓮は、怒った。
それから俺は、蓮を無視していじめが始まった。…だからこれも全部俺の所為で。

電車に乗りながら、家の事を考えると気が重い。…俺は居場所が何処にも無い。

家に帰ると、叔母さんに怒られた。
「遅かったじゃないの!」
「…すいません。」
チラッと叔父さんを見ると新聞を読んでいて、何も言ってこない。
興味無いって事か。
「聞いているの!?貴方の帰りが遅いと、周りから…。」
「…すいません、明日のミニテストの予習があるので。」
「ちょっと!!」
叔母さんの声を無視して、部屋に篭った。

やっと、一人になれた。
「ふぅ、やっと一人に…。」
「何しようかな?…映画でも観るか。」
そう思って、部屋を漁るとディズニーの映画があった。
「…懐かしい、昔よく見たな。」
久しぶりに観るか。
そう思って、DVDを再生する。
すると、様子が変だ。
鏡が映っている。
「闇の鏡に導かれし者よ、汝の心の望むまま、鏡に映る者の手をとるがよい。」
何を言って…。
分からない…、どうしていいか。
とりあえず、百獣の王にするか。
努力って部分は、共感出来るし。

謎の声がまた、喋る。
「闇の力を恐れるな。」
闇の力ってなんだ?
「さあー力を示すがいい。」
何を言ってー。
場面が変わり、不思議な空間に出る。
化け物とローブを着た人達が戦っている。
「何…、あれ。」
どうやらこっちの声は、聞こえてないらしい。化け物に負ける。
場面がまた切り替わる。
鏡の前に立ったおり、鏡から声が聞こえて
くる。
「今まで、ずっとお前が喋って…。」
「私に 彼らに 君に 残された時間は
少ない」
「ハッ?」
だから…、曖昧過ぎるって。
主語を言って。

「主語を言えー!!」
そう叫びながら起きた。
…なんか久しぶりに叫んだ気がする。
うん?なんか蓋がある気がする。
閉じ込められている?
すると、謎の声がした。
「こうなったら…奥の手だ!
ふな〜〜〜〜それっ!」
「ハッ?」
さっきから、擬音しか出してない気がするがそれぐらい異常な事が起きている気がする。
「さてさて、お目当ての…。」
「ギャーーー!!!!」
「失礼な狸だなぁ。」
「誰が狸じゃーーー!!!
オレ様はー。」
「よろしく、ドラえもん。」
「誰がドラえもんじゃー!!
グリム様なんだゾ!」
…ノリがいい狸だ。
「まあ、いい。そこのニンゲン!」
「あ、俺の名前はドラえもん。」
「さっきと同じだし、もっとマシな名前つけんか!!」
「やっぱりノリが良い狸だなぁ。」
「誰が狸じゃい!!」
「調子が狂うんだゾ…、とにかく服をよこすんだゾ!」
「服?良いよ。」
そう言って、服を脱ぎ始めたらグリムが焦り始めた。
「な!?やめるんだゾ!!」
「欲しいんじゃなかったの?」
「ぐっ!もっと羞恥心とか…。」
「無いよ。」
虐められていたし、恥とか全部捨てた。
「ううっ〜、やりにくいだゾ!!」
そんな事をしていたらー。
「ああ、やっとー、って!何をしてんですか!?服を着て下さい!!」
よく見ると、制服を脱ぎかけでなんか変態臭いな。…この人も仮面付けているしそれぽいけど。
「…見苦し所をお見せして、すいません。」
「まぁ、いいです。ダメじゃありませんか。
勝手に扉から出るなんて。」
「それに、まだ手懐けられてない使い魔の同伴は校則違反ですよ。」
…分からない単語がポンポン出てくる。
扉?使い魔?なんじゃそりゃ。
「離せ〜!オレ様はこんなヤツの使い魔じゃねぇんだゾ!」
「使い魔って何ですか?」
「ハイハイ、反抗的な…、今何と?」
「いや、だから使い魔って何か知らなくて…。」
「貴方、此処に一体どうやって…。」
「DVD観ていたら…。」
「あり得ません!馬車のお迎えは!」
「なんかリアルな映像だなって…。」
「どんだけ天然ですか!?貴方!?」
…そういえば、蓮にも天然過ぎて救えないって言われたな。
「とにかく軽い説明をすると、ここは名門魔法士養成学校ナイトレイブンカレッジ。」
「ナイトレイブンカレー?」
「どうしたら、カレッジとカレーを聞き間違えるんですか!!」
「貴方が正当な方法で来たのでは無いと知ったので、しょうがない。ついて来なさい。」
「分かりました…えっと、変態。」
「貴方!名前が分からないからって!
もっとマシな名前あるでしょう!!」
「それで?名前は?」
「くっ!いいでしょう!
私、優しいので!!」
こんなキレている奴は、優しく無いと思うが言うと話が拗れるので言わなかった。
「学園長のディア・クロウリーです。」
「よろしくお願いします、学園長。」
「…良かった、変な渾名付けられなくて。」
「?」
「行きますよ。」

着いて行くと辿り着いたのは、鏡がある部屋だった。
「…ここは。」
「見覚えは?」
「…一応。」
変な鏡に導かれて、ここまで来たのだから。

「すいません!皆さん!!」
「学園長!どうかしましたか?」
よく見ると、ローブだらけだ。
つい、ボソっと呟いてしまう。
「グリムの親戚?あの猫耳の人。」
「んな訳ないんだゾ!!」
途端に騒ぎが大きくなる。
「アイツ、死にたいのか?」
「バカだなぁ。」

「オイ、テメェ、いい度胸だなぁ。」
近付いて睨まれたが、いつもの虐めよりはマシだ。普通に流し、挨拶をする。
「どうも、それ猫耳ですか?
可愛いですね。」
また騒ぎが大きくなる。
「アイツ、また!!」
「コエ〜!!」
だが、猫耳の男は睨むのを止めてくれた。
「ハッ!テメェ、睨まれても怯まないのかよ?気に入った!名前は?俺はレオナ。」
「俺?俺は、神代ユウです。」
「ふーん、変わった名前だな。」
「そうですか?よろしくお願いします、
レオナさん。」
「そこは、レオナ先輩だろうが。
まぁ、テメェに先輩呼ばわりは気持ち悪いからさんでいいわ。」
更にざわめきが、広がる。
「アイツ!レオナさんと普通に!!」
「無敵か!!」
「…。」
学園長が、何か考える様な顔でこちらを見ている。
「あの、学園長?」
「私、決めました!」
「貴方を特別に入学を許可します!」
「はい?」
「学園長、話が見えないのですが…。」
身長が小さい髪が赤いのが特徴的な少年が聞いてくる。
「ああ、リドルくん。実は彼は正当な方法で、入学して無いです。」
「なっ!?」
「だから、此方に連れて来て適正を図ろうとしたのですが…。」
「何か問題でも?」
「彼がレオナくんと、上手くやっているのを見て学園の治安維持に努めさせようと思いまして。」
「何を言っているんですか!!彼は、恐らくこの学園の適切が無い!ならー!!」
「ですから、その使い魔のー。」
「誰が使い魔なんだゾ!!」
「コホンッ!グリムくんと二人一緒になる事で一人前とし、入学を許可します。」
「場所は!!」
「あるでしょう?廃屋が。」
リドルと呼ばれた少年は、悪そうな顔をした。
「良かったな、寝る場所はあるぞ。」

学園長に案内された場所はー。
「…なんか、幽霊とか出そうだね。」
「とっと入るんだゾ!!」
入ったら、中にいたのはゴースト。
つまり幽霊である。
「ふみゃぁぁーーー!!」
「よろしく。」 
「なんでびびってないんだゾ!!」
「人の方が怖いよ。…悪意とかさ。」
「?」
グリムは、よく分かって無いみたいだった。
とにかく部屋に行くか。
「案内してくれる?」
「オメーも、ゴーストと普通に会話してんじゃねーんだゾ!!」

ゴーストに案内された部屋は、意外にも快適だった。
「もっと、酷いかなって思ったけど意外に行けるな。」
「怖い物なさそーなんだゾ。」
グリムが呆れた様に言った。
「怖い物なら、沢山あるよ。」
「本当か?」
「うん。」
「おやすみなんだゾ!ユウ!」
「!!」
久しぶりに名前なんか呼ばれたな。
「…おやすみ、グリム。」
分からない場所に来たけど、何とかなるそんな気がして眠りについた。

0コメント

  • 1000 / 1000