藤丸立香ってどんな人?

貴方にとって藤丸立香はどんな人?

「安珍様ですわ♡」

それは代えが効く存在?

「安珍様は安珍様ですので♡」

(…そっか。) 

貴方にとって藤丸立香はどんな人?

「んー?おかあさん?」

でも、藤丸立香は男性だよ? 

「んー?おかあさんはおかあさんだから!」
(…そっか。)

貴方にとって藤丸立香ってどんな人?

「息子です。」

それは藤丸立香本人をみてるよね?

「? 何を言っているんです。
マスターは大事な息子ですよ。」

(…そっか。)

貴方にとって藤丸立香はどんな人?

「私にとって先輩は…見習うべき人で…、
こうなりたいって人で…上手く言えませんが…、私の道標みたいな人です。」

でも、藤丸立香も道を間違えるかもしれないよ?

「そうですね。でも、先輩は最後には正しい道を選んで下さります。」

(…そっか。)

アルトリア・キャスターは、カルデア中のサーヴァントに藤丸立香の印象を聞いていた。
何故そんなことをしたのかと言うと、藤丸の力になりたかったからである。
そのためには藤丸をもっと知る必要があると感じた為、カルデア中のサーヴァントに藤丸の印象を聞いていた。
しかし、アルトリアは聞いたことを数時後には後悔することになる。
(…皆、マスターを見ている様で見てない。マスターを誰かに重ねたり、マスターはこうあるべきだと決めつけている。…でも、マスターはそれに誠実に応えている。そんなことを続けていたらいつ心が壊れてもおかしくない。)
藤丸のことを思いながら、廊下を見ていると藤丸がサーヴァントと話していた。
(…あ…マスター…。)
藤丸は、マシュと一緒にいるみたいだった。
「流石です!先輩!」
二人はシュミレーター室から出てきた様で、マシュは藤丸の的確な指示を褒めていた。
「…そんなことないさ、皆のお陰さ。」
「いえ!先輩の的確な指示のお陰かと!」
藤丸は誰も分からないぐらい一瞬だけ曇った顔をしながら、マシュに聞いた。
「もしかしたら、間違えるかもよ?
指示…。」
「そんなことありません!先輩は最後には正しく導いて下さるので!」
「…そっか、ありがとうマシュ。」
そして恐らく誰にも分かないだろう嘘を藤丸はついた。
「はい!先輩!」
「…マスター…。」
そんな様子を柱の影から傷ましそうにみていたら、背後からいきなり声をかけられた。
「見てらんねぇな。」
「そうです…ってオベロン?いつの間に後ろに!」
「あれぇ〜。ずっと後ろにいたんだけど!気が付かなかったのかな?マスターの剣失格じゃない〜?にぶにぶアルトリア〜!」
煽ってくるオベロンだったが、アルトリアは事実なので何もいい返せなかった。
「うう…!」
オベロンは満足したという風にアルトリアを見つめた後に、藤丸とマシュを真剣な顔で見た。
「しっかしあいつ、いつまで続けるつもりだ?」
「…分かっているのでしょう。オベロン、彼が最後まで走り続ける人だという事が。」
オベロンは恐らくアルトリアと藤丸しか分からない不愉快そうな顔をしたが、その後取り繕った。
「あれぇ〜。なんのこと?俺にはわかんないなぁ。」
やはりオベロンと藤丸は根っこが似てる。
(…すぐ取り繕ろうとするんだから…、マスターと同じ…。)
そんなことを言ったらオベロンはまた取り繕って誤魔化すだろうが。
アルトリアとオベロンが歩いていたら、藤丸が声をかけてきた。
「二人とも今暇?身体動かしたくってさ。」
二人は顔を見合わせた。
藤丸はさっきマシュとシュミレーター室から出て来たばかりで。
つまりは身体なら十分動かしている訳で。
それでも身体を動かそうとしたのは考えたくないことがあるからだろう。
そんなマスターの力になりたい、そう思ったら自然と口に出していた。
「いいですよ、勿論オベロンもです。」
逃げようとするオベロンをしっかりと捕まえるアルトリアだったが、オベロンは顔で反論してきた。藤丸は、無理強いは良くないと考えて断ろうと考えた。
「えっと…無理なら…。」
しかし、アルトリアは藤丸のそんな考えを読んでいた様で付き合う気満々な事を伝えた。
「オベロンは普段からサボっていますからね。身体を動かさないと。」
「…なに〜?アルトリアは俺の意見ガン無視?すごいね!流石杖で敵を叩く脳筋は違うね!」
オベロンが嫌味を言ってくるので杖で頭を思いきり叩いて黙らせた。
「さあ、いきましょう、マスター。」
「オベロン、意識失っているけど!?」
「問題ありません。」
アルトリアは、やはり脳筋だった。

シュミレーター室に入り、ムニエルにもう一度シュミレーターをしたいことを伝えると、ムニエルは驚いた。
「藤丸、マジか!?さっきやったばかりじゃねーか!もう少し時間を置いても…。」
藤丸はよっぽど酷い顔をしていたのか、最終的に折れて頷いてくれた。
「…まあ、いいけどよ。あんま無理すんなよ。」
「ありがとうございます。」
藤丸は丁寧にお礼を言った。
「シュミレーターの場所はどこにするかな。希望とかあるか?」
特にないことを伝えた。
「んじゃ、適当に特異点F:冬木っと。」
「行けるか?」
藤丸は二人をチラッとみると、二人は頷いた。
「こちらは、大丈夫です。」
「じゃあ、シュミレーター開始!」
その言葉と共にシュミレーターが開始される。目を開けたらそこは冬木ではなく、妖精國であった。
「…ここは…。」
ザーッと電波の様な音がする。
「藤丸、無事か!?」
「ムニエルさん!なんか冬木じゃなくて妖精國にいるんですが…。」
「なにぃ〜!?何かお前らの様子が変だから連絡いれたらこれだよ!
待ってろ!強制送還させてやる!な…!?」
「どうしましたか!?」
「強制送還ができない!!」
「…!!」
これでは帰れない。藤丸は、ムニエルを安心させる様に答えた。
「…分かりました。何か帰る方法がないか探ってみます。」
「気をつけろよ!何かあったら連絡しろ! こっちはカルデアスタッフと相談して帰れる方法を探ってみる!」
「ありがとうございます!何か分かったら連絡します。」
それを最後にカルデアとの連絡は切れた。 藤丸は困った様に笑った。
「…帰れなく、なっちゃった。」
「その割には、困ってないじゃん。
いや〜、神経が相変わらず図太くいらっしゃる!」
「マスターのことは、何があっても護りますからね。」
「…俺は?」
「まあ、最悪囮役にでもなるでしょう。」
「…わぁ。アルトリアって冗談言えたんだね。…ふざけんな。」
「何か問題が?」
そんな二人の様子を見て危機的状況だというのに藤丸は心から笑っていた。
「ははっ!!」
「…おい。」
「マスター、何を笑っているんです。」
「いや、二人共仲いいなって。そう思っただけ。」
二人は声を揃て、文句を言ってきた。
「あれえ〜、聞き間違いかな?仲が良いとか聞こえたんだけど!マスターは脳味噌が腐っているのかな?」
「マスター。聞き間違いでしょうか、仲が良いと聞こえたのですが。訂正を求めます。」
二人のそんな様子をみて藤丸は吹き出してしまった。そんな藤丸の様子を見て二人は顔を見合わせて笑った。危機感状況なのに二人がいるから大丈夫、そう思えた。
三人は、一面花だらけの場所を歩いており、それぞれ思いを馳せているのか口数が自然と少なくなる。
(…懐かしいな…本当に…。)
歩いていた藤丸の前に懐かしい物が現れる。あれはー。
バーヴァン・シーに使われたアイテム。藤丸を飲み込もうとするが、アルトリアがアイテムにひびを入れた。
「相変わらず、脳筋だね!ーッハ!」
オベロンが虫を飛ばして攻撃し、アイテムは粉々に砕けた。
何か様子が変だった、アイテムのカケラが集まって行っている。
「マスター!此方に!!」
アルトリアは、藤丸を護る様に立ち塞がった。アイテムのカケラが集まってサーヴァントの形になり、バーヴァン・シーの姿になった。オベロンは吐き捨てる様に言った。 
「成る程な…、染み付いた未練ていうやつか…。」
バーヴァン・シーは、獣の様な呻き声をあげていたが藤丸に気が付き殺意を漲らせた。
「…何で…、おまえが生きている…!私を…!殺した…!お前が!」
そう叫ぶと藤丸に襲い掛かってくる。
「マスター!」
「…チッ!」
アルトリアとオベロンが藤丸を護る。藤丸は動けなかった。今まで散々考えて、でも、言われたことがないセリフ。
「何で生きている。私を殺した。」
その言葉が反復して動けない。
「マスター!指示を!マスター!?」
ぐるぐる、ぐるぐる、ずっと頭から離れない。
バーヴァン・シーの怒りはもっともだ、なら自分は報いを受けるべきなのではないかそう思った。バーヴァン・シーが弓を構えたが、藤丸は動かなかった。弓が降ってくる。このままでは、確実に藤丸は死ぬだろう。
だが、そうはならなかった。藤丸の前に立つものが二人。
「…あー。くそっ!何本か刺さったわ。」
「私もです。貴方より少ないので私の勝ちですね。」
「…君って、ほんっとうに負けず嫌いだな〜。」
そんな、二人の様子をみて藤丸は呆然と呟いた。
「…な…、どう…して…。」
「マスターは私の命だと言ったでしょう?」
アルトリアは困った様に微笑んだ。
「…相変わらず君は向こう見ずだなぁ。全部諦めて辞めてしまいたいなら俺に言え。終わらせてやるよ、でも諦めてないなら勝手に死ぬんじゃねぇ。…藤丸。」
そう珍しく本音でオベロンは語って二人は、藤丸に笑いかけた。
「「つまり何が言いたいかというと。」」
「生きて下さい、マスター。」
「生きろよ、マスター。」
二人はそう言ってバーヴァン・シーに向かって、走り出した。
生きろ、ドクンッ、生きろ、ドクンッ、生きろ、ドクンッ!そうだ!自分は生き残るために戦って来たんだ!死ぬ為じゃない!どんなに辛くても走り続けるって!今回もそうだ!絶対に生き残ってやる!そう思うと藤丸は立ち上がっていた。
「二人とも、ごめん!遅くなった!」
そんな藤丸に当然の様に二人は、返事をした。
「待ってねーよ。」
「信じていましたから。」
三人はバーヴァン・シーと対峙する。バーヴァン・シーは藤丸に向かって弓を構える。
「ゆるさない!ゆるさない!」
弓を放って来たバーヴァン・シーに対して、魔力の溜めた杖で反撃するアルトリア。
「オベロン!」
アルトリアの後ろから出てくるオベロン。
「相変わらず、雑だなぁ。」
オベロンは宝具を展開した。
「ガ…ガァ…。」
苦しんでるバーヴァン・シーを見て彼女には言わなければ、と藤丸は思った。
「…ごめん。殺して…、それでも生き残るためにバーヴァン・シー君を殺して、前に進むよ…。」
バーヴァン・シーは藤丸をみて吐き捨てる様に言った。
「…バーカ、だから嫌いなんだよ…、テメェは…。殺す相手に対してそんな顔をするバカが、どこにいる?…本当、甘くて反吐が出る…。」
そう言って消滅した。
「藤丸、強制送還ができるようになったぞ!でも、準備に時間がかかるから待っていてくれ!」
「分かりました。」
そう言って通信を切った。オベロンは藤丸に問いかける。
「今回の件、報告しないつもりだな?」
「あ。やっぱり、分かっちゃう?」
「報告しなくても、バレるかも知れないぜ。」
「だろうね。ホームズ、ダヴィンチちゃん、シオンさん辺りは勘づくかな?」
「なら、どうして報告しない?」
「…今回、俺は死のうとした。そんなのは皆が求める「藤丸立香」じゃないから。」
「…いつまで続けるつもりだ。」
「皆が求め続けるまで。」
オベロンは不愉快そうな顔を隠そうともしなかった。
「潰れるかもしれないぞ?」
「大丈夫だよ。潰れない程度に頑張るから。」
そんな藤丸をみてオベロンは吐き捨てるよう呟いた。
「…君って、ほ〜んとうに救えないよねぇ。」
そんな様子を遠くからアルトリアは見つめていた。
(…マスター。私は…。)

シュミレーターの騒ぎから数日が経った頃、アルトリアはある決意をし藤丸の部屋に行くことにした。
「マスター?今よろしいですか?」
「アルトリア?いいよ、今、開けるね。」
藤丸の格好をみて、ため息を吐いた。
(ああ、また筋トレをしていたのですね…。)
「アルトリア、それで話って何?」
「マスター、私には本音のままの貴方でいて欲しいのです。」
「え…。」
藤丸は困惑したが、アルトリアは畳みかける様に話を続けた。
「貴方は、皆さんの期待に答えようとして限界以上のことをなさっている。どうするれば、貴方の負担が減らせるか考えてました。せめて私と2人きりのときは本音でいて良いんですよ?どんな貴方でも受け入れますから。」
藤丸はうなだれた。
「…甘えて…、いいのかな…。世界を壊しまくっている俺が…。」
「許します。たとえ、世界がマスターを許さなくても私は許します。だから….。」
そう言い終わる前に、藤丸はアルトリアの肩に顔をコテンッと預けてきた。
「…正直しんどいよ…。」
「はい。」
「周りからは、違う人に思われて自分をみて貰えないのは…。」
「はい。」
「周りは、俺は凄い奴だって…善性の塊みたいな奴って言われるけど自覚ないし…。」
「…。」
「正しい道を選んでくれるって思われているけど、間違えたっていつも思っているし…。」
「…マスター。良く頑張りましたね。でも、これからはマスターの剣としてマスターの心を護りますから。」
「ッ!なん…だよ…それ…。」
藤丸はアルトリアにしがみついて声を出さないようにして泣いた。ずっとこうしてきたのだろう。
マスター、私の命。これからは剣として貴方の心を護ります。

END

色彩

2次創作置き場です。

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